キャリアは「偶然を計画する」ことで開けていく

――ビジネスの世界でも、最初に入った会社で定年まで、というケースは少なくなり、二毛作三毛作の人生が当たり前になりつつあります。ビジネスパーソンはどうやってキャリアを形成していけばいいのでしょうか。

【村井】私自身がJリーグのチェアマンになったというのも、とんでもないキャリアチェンジなんですが、私はキャリア論で有名なクランボルツ博士の学説が好きですね。「計画された偶発性」という理論です。

キャリアの80%くらいは偶然で決まります。「なろう」と思ってなれるものではなく、偶然、突然飛び込んでくる。では「計画された」というのはどういう意味か。その偶然をどうやって呼び込むか。偶発性を計画することができる、という理論でしょう。

撮影=奥谷仁

「なれなかったらおしまい」と考えないこと

【村井】そこには5つのテーマがあって、1つ目が「好奇心」。まずなりたいキャリアに興味を持つことです。次に「持続性」。1年や2年ではなく5年、10年の単位で興味を持ち続けること。そして3番目が「柔軟性」。

例えば「スポーツに関わる仕事がしたい」と思っていて、最初はサッカーだったけど、そればバスケットボールに変わっても構わない。4番目は「楽観性」。「なれなかったらおしまい」ではなく「まあ、いつかはなれるだろう」くらいの気持ちです。最後に「冒険心」。勇気を持って憧れの人に会いに行ってしまうような。

そんなことを続けていると、神様が微笑んでキャリアが降ってくる。私自身、Jリーグのチェアマンになるなんて夢にも思いませんでしたが、サッカーへの興味はずっと持ち続けてきましたし、初代チェアマンの川淵三郎氏に講演を頼みにいくなど冒険をしたこともありました。身をもってクランボルツ博士のキャリア論を体験したわけです。

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