ドイツ式なら「20年勤務月収40万円」で400万円

しかし労働側の弁護士は解決金のルールを定めること自体に反対する。

「仮に解決金の下限が月収の3カ月、上限を1年と決めたとする。労働者が不当解雇ではないかと使用者に言っても、使用者は『そうかもしれないが、裁判に訴えてもこの範囲内でしかもらえないし、弁護士費用もかかる、この金額で手を打ったら』と使用者が退職を迫るかもしれず、リストラに利用されやすくなるだろう」

確かに一定の解決金の水準を決めたらリストラに悪用されるかもしれない。

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これについて経営側の弁護士はこう語る。

「使用者が無用な解雇を連発する可能性はあるという意見もある。ただし勤続年数を考慮することを前提に月収の12カ月分、あるいは24カ月分を上限にすれば、無用な解雇が連発することにはならないし、使用者も合理的な判断をすることになるではないか」

おそらく政府が検討している解雇の金銭救済制度を法制化する場合は「労働契約解消金」の水準が大きな争点になるだろう。

実は解雇の金銭解決制度の導入を唱える経営側も大企業と中小企業が一枚岩ではない。

2022年4月27日に開催された厚労省の審議会で使用者側の中小企業団体の委員は解決金額について「どの程度の水準になるかということが中小企業にとっても非常に気になる点だ」とし、「この制度について議論をする際に、労働契約解消金の水準はとても重要なことであるので、部会等において参考となるデータをぜひお示しいただきたい」と発言している。

中小企業にとっては解消金の水準が高くなれば、経営に響くこともあり、水準しだいであることをにおわせている。

ちなみに前述したドイツで一般的となっている算定式は「勤続年数×月収×0.5」だった。

仮に会社に20年勤務し、月収が40万円だった人は400万円になる。40代なので再就職は難しいだろうということで係数を0.8にした場合は640万円になる。さて、あなたはこの金額で会社を辞めますか?

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