日本円の価値がどんどん下がっている。今月20日には、一時1ドル=150円を突破し、32年ぶりの円安水準が続く。モルガン銀行(現・JPモルガン・チェース銀行)元日本代表の藤巻健史さんは「お金のバラマキを続けてきたツケだ。政府や日銀に止める方法はなく、日本人は貧乏になるしかない」という――。
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円安はどこまで続くのか

G20直後の15日、バイデン米大統領はドル高を容認するとともに「問題は他国の経済成長や健全な政策の欠如だ」と述べた。ことドル/円に関しては、そのままズバリの分析だ。

巨大累積赤字を異次元緩和という名でカモフラージュした財政ファイナンスにより先送りしてきた危機が表面化しようとしている。

これこそ今後とも円安が進行し、そして最後に円大暴落となる原因なのだ。

私が昨今、1ドル400円から500円を経て天文学的数字になるだろうと朝日新聞、週刊エコノミスト、文藝春秋等で主張してきた理由である。

この結論を過激だという人が多いのは承知している。しかし、私はオーソドックスな金融論を学び、それに基づきマーケットで勝負をして実績をあげ、一橋大学経済学部や早稲田大学商学研究科等でオーソドックスな金融論を教えてきた人間だ。

その人間から見ると、日銀が極めて過激な行動を取っている。

世界中で「禁じ手中の禁じ手」といわれていた財政ファイナンス(政府の借金を日銀が新しく紙幣を刷って賄う)然り。価格が変動の大きい株や長期債などを大量保有している現状も然りなのだ。

国の借金を日銀が肩代わりする禁じ手

発行国債残高の半分以上を日銀が保有しているのは、政府・日銀がいかに詭弁を用いようとも財政ファイナンスそのものだ。