1ドル100円の時、1億円をドルに換えて、100万ドルを手にする。そのドルで設備投資をする。超低金利だから支払う円金利は少ない。満期の時にドルが1ドル=1000円と円安が進んでいれば、10万ドルを円に変えて1億円の借金の返済が完了する。100万ドルの融資金額を得ても、満期の時には10万ドルの返済で済むわけだから、こんなにおいしい話は無い。
円は世界の調達通貨になるということ。彼らが借りた円をドルに換えることでドル高が進行する。
このように日米金利差拡大の為替に対する影響は非常に大きい。
円安の原因は「政府・日銀の失敗」
そうは言いながらも、この日米金利差要因だけでは1ドル180円から200円くらいまでの円安進行がせいぜいだろう。
さらに強力な円安/ドル高要因は、日本のマーケットでは全く語られていないが、お金の量の日米の差によって起こると思っている。金利ではなく量の話。この要因で、私は1ドル400円から500円までの円安/ドル高が進むと考えている。
現在の世界的インフレがなぜ起こっているのか? コロナ後の回復需要増、中国のゼロコロナ政策、ウクライナ紛争などによる供給制約が原因だと思うとマーケットを読み間違える。
世界の中央銀行や政府は、そのように分析で自分たちの政策ミスの責任を回避したいだろう。しかしインフレの主たる理由は政府、中央銀行の政策ミスだ。
コロナ対策のための財政ファイナンスでお金を供給し過ぎた。少なくともコロナ禍のような緊急時に財政出動、財政ファイナンスをしたいのなら平時には均衡財政を守らねばならない。
原因が金余りのインフレならば、余っているお金を吸収しなければインフレは収まらない。悪い経済ニュースが出るとすぐNY株価が反発するのは、お金が余っている証左だ。
インフレの原因は「バラマキによる金余り」
余っているから「もう底値だろう」とお金が再度株式市場に戻ってくる。金が余っていなければ、購入する金が無いから株価は急落を続け、インフレは鎮静化する。特に資産インフレによるインフレは、だ。
「米国不動産価格がピークを打ったからもうすぐインフレが収まる」の論考も散見されるがとんでもない。
不動産価格高騰と住宅ローン金利高騰のせいで購入をあきらめた人が賃貸市場になだれ込み、賃貸市場は非常にタイトで家賃の値上がりが激しい。借家借地法が無く、賃借人の立場が賃貸人の立場と同等な米国では賃貸料の高騰は、新規賃貸人だけでなく賃借人全員に影響する大きな社会問題だ。