「働かない働きアリ」は仕方なく、別の働きアリの巣を探して、運がよければ今度はそちらに寄生する。
それでも種が絶滅しないのは不思議だが、「働く働きアリ」だけで巣を新設する頻度が、「働かない働きアリ」に乗っ取られる頻度より多いのだろう。
これを理不尽と言わずしてなんと言えばいいのだろう。人間も確かに不平等ではあるけれど、少なくともアミメアリに比べればまだだいぶマシなのではないだろうか。
「平等な授業」が落ちこぼれをつくる
アミメアリほどではないにしても、人間が生まれつき不平等なのは避けようのないことで、こればっかりは仕方がない。
ただし問題は、世の中の仕組みの中には、あたかも人がもともと平等であるかのようなフリをして成立しているものが山ほどあり、そのせいでさらなる不平等がもたらされていることだ。
日本の場合、公立の小学校や中学校では、明らかに支援を要すると判断されない限り、同じ学校であれば、基本的には全員が同じ授業を受けている。
しかし、はっきり言って人の頭脳は平等ではない。
また、持って生まれた能力がどう顕現するかには幼児期における教育環境や経験の違いが大きく関与するので、小学校に上がるころにはその差が歴然となっている可能性もある。
受け手のほうに差があるのに同じものを与えれば、ますます差が大きくなってしまうのは当然である。
教師がどれほど精魂込めて教えたところで、一律の授業で平等の成果はありえないのだ。