廃線は「地方の切り捨て」と批判されるが…
これまでのバス転換は、鉄道路線をそのままなぞるように設定されたため実際のニーズとズレがあり、利用実態に見合わないバスはやがて縮小・廃止される運命にあった。また地図や路線図から記載が消え、地域のシンボルを失うことへの抵抗も強かった。
公共交通を前提としたまちづくりに転換するのは容易ではなく、時間もかかる。バスの継続性が疑われる中では政策の転換に踏み切れないのも仕方ない。今回の特定BRTは鉄道事業者の関与を保障しつつ、鉄道に準じた存在とするなどその反省を踏まえたものであるといえよう。
ローカル線の廃止と公共交通の廃止は同義ではない。「見直し」は地方の切り捨てと批判されることも多いが、現に利用されていない鉄道をいたずらに延命させるほうが地方の可能性を切り捨てているとも言える。
いずれにせよ、鉄道もBRT・バスも手段であって目的ではない。地域の実情に合った、持続可能な公共交通を確立し、自家用車を持たない、運転しない人でも豊かに暮らしていける社会を作り上げることが目的であることを、私たちは議論の前に理解する必要があるだろう。