自動車保有台数は全国平均以上

・宮古盛岡横断道路(岩手県宮古市―盛岡市)2021年度一部区間以外開通
・三陸自動車道(宮城県仙台市―青森県八戸市)2021年開通

道路だけではない。道路を走る自動車も30年で飛躍的に増加した。一般社団法人自動車検査登録情報協会の統計によると、東北6県の1988年から2018年の自動車保有台数は下記のように2倍以上増加している。

・全国 2960万台 → 6158万台(2.1倍)
・青森県 30.9万台 → 73万台(2.4倍)
・岩手県 31.7万台 → 74.1万台(2.3倍)
・宮城県 54.8万台 → 129.4万台(2.4倍)
・秋田県 28.5万台 → 59.4万台(2.1倍)
・山形県 31.8万台 → 69.5万台(2.2倍)
・福島県 53.5万台 → 122.4万台(2.3倍)

特に県境をまたいだ利用の減少が著しいと前に述べたが、これは通勤や通学、通院など多くが県内で完結する日常的な鉄道利用ではなく、比較的距離の長い都市間の輸送需要である。これらが並行する高速道路(自家用車、高速バス)に移った影響は少なくないと考えられる。

鉄道側にも利用離れを招いた要因はないのだろうか。利用者の減少と減便が負のスパイラルを招いているのではないか、という指摘はあるだろう。では1987年と2022年のダイヤを比較してみよう。

日中運転本数がどんどん減っている

大幅に減ったのは花輪線だ。好摩駅(岩手県)の下り列車を比較すると、1987年には1日13本、10~15時台は1時間1本設定されていたが、現在は7本。日中は13時台に1本しかなくなってしまった。通勤・通学需要に最低限対応するだけのダイヤだ。また久留里線の木更津駅下り列車は1日17本で変わっていないが、上総亀山まで行く列車は14本から5本に減少している。

一方、奥羽本線新庄駅(山形県)の下り方面を見てみると、山形新幹線開業以前は奥羽本線経由で秋田、青森方面の優等列車が運行されていたため、1日18本うち9本が特急・急行列車だった(3本は寝台特急)。現在は特急の運行はなくなったが、普通列車は増便されて11本だ。

通勤・通学需要に対しては終電の繰り下げや夜間の増便など利便性向上に努めている路線もあるが、全体的に日中の運転本数は削減の傾向にあり、新たな需要を開拓しようという姿勢は感じられない。

人口減少がさらに加速する今後、これまで通りのやり方ではローカル線は縮小するばかりだ。何か手立てはあるのだろうか。