当初の製品名は「コロコロ」ではなかった

実は、発売当初の製品名は「コロコロ」でなく、「粘着カーペットクリーナー」だった。

「発売した当初は、世の中にない画期的な製品だったため、社員が販売店に立って実演販売をしたりテレビCMを打ったりすることで、地道に販促活動をしていました。独創的な製品だからこそ、品質の良さや利便性をきちんとお客様へ伝わるように意識していたのです。

その甲斐あって、認知度も広まり、お客様に支持されるようになると「あのコロコロ転がす製品がほしい」というお声を頂戴することが多くなっていきました。オノマトペを用いた呼び名は、まさに『名は体を表す』かのように製品名にぴったりだと思い、1985年に商標を出願し、『コロコロ』の名で販売するようになったのです」

「コロコロ」は今までになかった粘着テープを用いた清掃用品として市場を確立し、一躍ヒット製品として知られるようになった。

他社製品より高くても「業界シェア50%」をキープ

しかし、競合他社も類似品で市場へ参入し、100円均一ショップや量販店で販売するようになったことで競争が激化していく。

ニトムズの「コロコロ」はどのような差別化を図り、マーケティングを展開しているのだろうか。

「差別化要因は主に2つあると思っています。1つ目は高品質で使い勝手に優れていること。『コロコロ』は他社の製品に比べて価格が高めなわけですが、いまでも業界シェアは50%を占めています。価格は高くてもゴミがよく取れ、利便性に秀でているというベネフィットがあるからこそ、リピートして購入いただけていると考えています。

2つ目はのりの選択や塗工方法などの技術革新を続け、利用シーンや用途の拡大に努めてきたこと。時代の変遷とともに、お客様の声に耳を傾けながら、生活のトレンドやニーズに合わせ、ラインアップを拡充させてきたのが、差別化ポイントになっています」

筆者撮影
「使い終わった後の切り取りやすさや切れ目のわかりやすさなど、お客様が気持ちよく掃除ができるように利便性を追求している」と和田さん

住環境やライフスタイルの変化に応じて、フローリング用の製品やフローリング、カーペット兼用タイプのものを発売したり、スマートフォンの皮脂除去用の製品を開発したりと、用途別のラインアップを強化していったという。

また、床清掃用や衣類用など清掃範囲に合わせたサイズを展開し、ユーザーの使いやすさにもこだわったそうだ。

このような創意工夫を繰り返し、現在では100種類ほどのラインアップにまで広がっている。

筆者撮影
「コロコロ」の製品ラインアップ。写真はニトムズ本社ショールームにて