公的年金でまかなえるのは老後生活費の半分だけ

それにしても月13万円という年金収入は衝撃的です。なぜなら、いま厚生年金で暮らしている高齢夫婦の月間生活費が月額26万円だからです。年金だけでは生活費の半分しかまかなえないことになったとき、どう対処すればよいのでしょうか。

すぐに頭に浮かぶのは、退職金やいままでの貯蓄を運用に回して、運用益で生活費の不足分をまかなうことです。しかし、それは絶対にやってはいけません。いまはゼロ金利の時代です。預金金利は雀の涙です。

運用益を確保しようと思ったら、株式などリスクのある商品に手を出さざるを得ません。ところが、いまの世の中、「エブリシング・バブル」と呼ばれるほど、株価や不動産や暗号資産や原油や穀物などの商品に至るまで、あらゆる投資対象がバブルを起こしています。

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105歳まで長生きすると老後資金は6240万円必要

バブルの広がりとバブルの大きさは、これまで人類が経験のないレベルになっています。ですから株式投資をしたら、それが3分の1とか、下手をすると10分の1に暴落しても、何の不思議もない状態なのです。若いうちなら、それでも裸一貫からやり直すことができますが、老後を間近に控えた50代は、取り返しがつきません。

それでは、老後の生活資金不足を埋められるほど大きな貯蓄を現役時代に作っておくというのはどうでしょうか。これは一つの解決策です。ただ、女性は105歳まで生き残る確率が1.2%もあります(※)

つまり、99%の安心を確保しようと思ったら、65歳から105歳までの40年間の不足資金を貯めておく必要があります。単純計算で、その金額は、6240万円にもなります。普通のサラリーマンに実現できる貯蓄額ではないでしょう。

(※)国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」平成29年推計