家族だけで悩まない

「子どもも、うつ病などの精神疾患にかかることがある」ということは、ぜひ知っておいていただきたいです。そして、「もしかしたらそうかも」と疑わしいところがあったら、家族だけで悩まないでほしいです。家族だけで抱え込んで、よくなることはまずありません。病院や学校、行政の子育て支援機関に相談してください。

精神科には行きにくいと感じる人も多いでしょうから、まずは学校に相談するのがよいでしょう。スクールカウンセラーは、臨床心理士などの資格を持つ人も多いので、学校での様子も踏まえてアドバイスをしてくれるはずです。

大人もそうですが、子どものうつ病の場合も、大切なのは休養です。心身のエネルギーが枯渇しているような状態なので、休んで体の中にエネルギーをためていかなくてはなりません。家族も協力して、子どもをしっかりと休ませることが大事です。

「子どもだからすぐに治るだろう」と思ってしまいがちですが、そうではありません。治療には時間がかかることもあり、短くても数カ月、長いと数年かかることもあります。

1年ぐらい休んだほうがよいケースもありますが、子どもが1年学校を休むというのは大変なことに感じられるため、本人だけでなく、親があせりを感じてしまいます。しかし、しっかり休まないと、やはりなかなかよくなりません。家で多少元気そうに見えても、「ちょっと頑張ってみたら?」「ダラダラしたらよくないよ」といった声がけは避けてください。

早めにSOSをキャッチするために

特に子どもの場合は、自分の精神状態や症状について、言葉でなかなか表すことができません。できるだけ早い段階で、親をはじめとする周りの大人がSOSをキャッチすることが大切になります。前述の国立成育医療研究センターの調査では、小学5年生の23%、中学1年生の36%が、もし自分がつらい気持ちやだるさ、不眠や食欲の低下などの、典型的なうつ症状になったとしても、「誰にも相談しないで自分で様子を見る」と答えています。

普段、どんな声掛けをしていれば、子どもの方からささいなことでも相談できる関係が作れるか、気を付けてほしいと思います。特に新学期は、新入学や進級などで環境が変わり、子どももプレッシャーやストレスを感じやすい時期です。親が、励ましのつもりで言ってしまう何気ない声掛けが、余計にストレスを与えてしまう場合もあります。

写真=iStock.com/Kouichi Chiba
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