その補うときに使っている知識や考え方を「共通の基盤」といいます(※)。つまり、相手に正確に理解してもらうには、この「共通の基盤」が必要不可欠なのです。

※Clark,H.H.(1996). Using language. Cambridge: Cambridge University Press

この「共通の基盤」がないと、自分が説明している内容が相手に正しく伝わらなかったり、認識のズレが生じたりします。

たとえば、商談の際、セールスする側の自分としてはその日の打ち合わせで決裁の判断をもらうことを考えていたのに、相手は顔合わせ程度にしか考えていなかったら、それ以降の話は噛み合わないでしょう。

前提のすり合わせがないとミスコミュニケーションが起こりやすくなるのです。

写真=iStock.com/maroke
※写真はイメージです

この「共通の基盤」の重要性に気づいた私は、結論をいきなり伝えても理解してもらえなさそうなシチュエーションでは、必ず前提の共有を行い、「共通の基盤」をつくるようにしたのです。

次の課題は、「共通の基盤」を伝えた上で、スムーズに結論につなげることでした。さまざまな文献から調べ上げた裏づけのある知見を、自分なりに現場で試していったところ、ミスコミュニケーションが最も起こりにくい話の組み立て方をパターン化することができました。

「共通の基盤」をスムーズにつくる3ステップ

そのパターン化した組み立て方というのが、以下の3ステップで行っていくものです。

Step1 前提を共有する
Step2 その前提に基づいた、以降の説明の合意をとる
Step3 本題のテーマや結論を伝える

各ステップを1つずつ説明します。

Step1では、前提となる知識や条件などを相手に伝え、「共通の基盤」をつくりやすくします。「前回は、●●まで話が進んでいたかと思います」のようなフレーズです。

このステップを省略してしまうことで最も危険なのは、相手が勘違いしたままに何らかのアクションを起こしてトラブルが勃発することです。