たとえば、上司である自分が「あの金額でA社に見積書を出しておいて」と部下に指示した場合を考えてみます。
「あの金額」というものを自分としては「自社が提案した値引き前の金額」で、部下としては「クライアントが提示した値引き後の金額」と想定していた場合、請求書の金額はズレてしまうため、大惨事になりかねません。
「あの金額」というのが値引き前の金額なのか、値引き後の金額なのか、しっかりとすり合わせる説明をしておけば、こういったリスクを回避することができます。トラブルを防ぐためにも、このステップは常に念頭に置いておくとよいでしょう。
相手との認識のズレが生じる恐れを忘れてはいけない
Step2では、Step1で確認した前提に基づいた説明を行っていくことへの合意(コンセンサス)をとります。前提を共有しながら相手と「共通の基盤」をつくっていくことを「基盤化」といいます(※)。
※Clark,H.H.(1996). Using language. Cambridge: Cambridge University Press
「この前提に則って説明していきますね」のようなフレーズです。この基盤化を行わないと、相手との認識のズレが生じる可能性が出てきます。
たとえば、「例のA社についての続報だけど」と説明を始めるとき、自分としては「例の案件」を値引きする前の金額を前提にして話していたのに対し、部下は値引きした前提で聞いてしまっていたら、以降の説明は確実に相手にわかってもらえません。
そのため、「値引きをまだしていないという前提で話すと、……」のような伝え方をします。
Step3では、説明したい本題のテーマや自分の考え、意見(結論)を伝えます。「それではまず、私の考え(結論)ですが、……」のようなフレーズがお勧めです。
このStep1~3の組み立て方のイメージがより湧くように、実際にこのステップで組み立てた具体例を紹介します。