端的にわかりやすく伝えるにはどうすればいいのか。元駿台予備学校講師の犬塚壮志さんは「すべてを伝えようとしてはいけない。『情報量を削って要約する』ことより、話さないことを決めるほうがいい」という――。(第1回)
※本稿は、犬塚壮志『説明組み立て図鑑』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。
「端的にわかりやすく伝える」ためのシンプルな方法
「短く話そうとしても、そんな簡単にできないよ……」
「“端的に話せ”って言われても、要約するのが苦手で……」
多くの情報が溢れている今、ビジネスシーンだけでなく、プライベートの場面でも「短く話す」「端的に伝える」といったことが求められています。情報過多の時代だからこそ、TikTokをはじめとするショートコンテンツも流行っているのでしょう。
そういった情報を短く端的に伝えることの重要性は増している一方で、冒頭にあるように、それがなかなかできず苦労している人も多いのではないでしょうか。
私自身は、予備校講師として長年、生徒たちに「端的にわかりやすく伝える」ことを実践してきました。科目の知識を説明したり、問題を解くスキルを教えたりするのは、実際に多くの時間を要します。
その一方で、予備校で科目ごとに割り当てられている講義時間はとてもタイトです。
学校のカリキュラムに比べとてもタイトに設定されているため、ある意味で予備校の講義は時間との戦いになります。
限られた時間の中で、いかに相手にわかりやすく伝えることができるか、そこが腕の見せどころとなるのです。
ただ、そんな私も、はじめから端的に話ができる人間ではありませんでした。
「全部を伝えよう」として失敗した過去
私自身、実は極度の心配症で、授業で説明する際、「生徒のためにも、ありったけの情報を全部、話さないといけない」といった、ある種の強迫観念のようなものをずっともっていました。
ただ、当然のことながら、自分の持っている知識や情報を授業中にすべて話そうとしたら、時間が足りなくなってしまいます。