どの宗教教団にも属さない「単立宗教法人」が増えている

特に大きく減少しているのが「諸教」と呼ばれる、既成宗教に属さないカテゴリの新宗教である。126施設も減っている。諸教の主要な教団には、天理教やパーフェクトリバティー教団などがある。

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例えば統計が始まった1995(平成7)年の調査では、諸教の施設数は1万6231あった。この四半世紀ほどで2162施設(全体の13%)が消えてしまっていることが判明した。寺院や神社同様、宗教法人格だけを有しながら、宗教施設として機能していない施設を入れればもっと多いはずだ。

各宗教の信者数の減少も顕著である。人口に占める仏教系の信者(檀信徒)は8397万1139人(人口全体の46.4%)となり、前回調査よりも86万3971人の減少となった。神道系の信者(氏子)は8792万4087人(同48.5%)で、103万5258人の減少。キリスト教系は191万5294人で、5537人増加した。諸教は733万5572人で6万7988人の減少だ。

日本における宗教人口の総数では1億8114万6092人(前回比でマイナス196万1680人)となった。これは、日本の人口(1億2544万人)を大きく超える数字だ。これは包括宗教法人が文化庁に「自己申告」する仕組みなので、数え方がまちまち(いい加減)なのだ。

そのほか、日本人の信仰が混淆していることも理由に挙げられる。たとえば地方都市では、寺院の檀家でありながら神社の氏子になっているケースはよくある。

また、どこかの寺の檀家だが、新宗教に入信していることも考えられる。たとえば、創価学会に継ぐ新宗教勢力の立正佼成会や、PL学園を組織するパーフェクトリバティー教団などは他宗教との掛け持ちを認めている。

複数の宗教をまたがって信仰できるもうひとつの背景には、日本が憲法20条「信教の自由」の保障がある。そのため、わが国には「国教」が存在しない。

終戦直後には国家神道が解体され、多数の新宗教が誕生し、勃興した。これは「神々のラッシュアワー」(第2次宗教ブーム)と呼ばれている。

戦争が終わり、次男以降の男子が集団で農村を出て(故郷の菩提寺を離れて)、都会に移り住み、核家族を形成。こぞって新宗教に入信した時代があった。

だが、近年、新宗教が急激に信者数を減らしている。諸教にカテゴライズされている新宗教の場合、1995(平成7)年の調査では1111万2595人いたのが、733万5572人にまで激減している(マイナス34%)。

高度経済成長期に入信した若者が高齢、死亡期に入り、同時に子供や孫へと信仰が継承されていないことが考えられる。

伝統宗教も新宗教も、施設の数や信者数を減らす中で、ひとつの奇妙な現象が起きている。

それは、どの宗教教団にも属さない「単立宗教法人」が増えていること。前回調査で単立宗教法人は7141法人だったのが、49法人増えて7190法人になっている。例えば、仏教系単立宗教法人は2019年から2020年の1年間で11法人(カ寺)が誕生している。神道系では14法人(社)が新たに誕生した。

これは何を意味するのだろうか。