フェイスブックの内情はこれまでも繰り返し論争になってきたが、それよりも若者が憤ったのは、こうした問題をフェイスブック内部ははっきり把握していたにもかかわらず、広告売り上げを優先して対策をとらなかったという事実である。怒りや煽動的なコンテンツは他のどんな投稿よりも早くたくさん共有され、広告収入を考えると最もおいしいコンテンツだからだ。
フェイスブックのイメージはいまや地に落ちているが、実は若者の間ではかなり前から「フェイスブック離れ」が始まっていた。
親や祖父母が使っている時点で古い
フェイスブックのユーザーは世界中に29億人いると言われ、その人気は絶対的だ。
しかしそれ自体が、フェイスブックをダサいイメージに変えてしまっている。
フェイスブックはそもそも、ハーバード大の学生だけで使われていた閉鎖的なメディアだった。当時大学生だったミレニアル世代は40代に差し掛かり、その上のX世代、60~70代までフェイスブックの利用者は多岐にわたっている。しかしそれが裏目に出ているのだ。
ファッションにしろ音楽にしろ、10代の若者にとって一番大事な価値観の一つはクールさであり、親や祖父母が使っているプラットフォームはとてもクールとは言えない。フェイスブックの巨大化自体がイメージダウンになるという避けられない結果になったとも言える。
また、デザインがごちゃごちゃしておしゃれではない、広告が多すぎるなどの意見も多いが、古いソーシャルメディアの部類に入ったフェイスブックは、10代の若者の選択肢には入っていないというのが実際のところだろう。
それどころか、10代の間では「インスタ離れ」ともいえる現象が起きている。インスタグラムは2012年、フェイスブックが巨大化する段階で買収した。これが見事に当たり、インスタは若者に圧倒的な支持を得て、「インスタ映え」「インフルエンサー」などの言葉も生まれた。
10代の間では「インスタ離れ」も
しかし、そのインスタグラムも10代の間では人気が下降している。前出のパイパー・サンドラーの調べでは、2015年には33%でトップシェアに君臨していたインスタグラムは、現在スナップチャット、TikTokに抜かれて3位だ。
ソーシャルメディアにとって10代に支持されなくなるという以上の危機はない。ユーザーをつなぎとめるためにさまざまな変革を試みてきたが、それが裏目に出ているようだ。