新入社員が所属感を会社に求めるのは自然なこと

アメリカの心理学者アブラハム・マズローによる自己実現理論では、「人は自己実現に向かって絶えず成長する」と仮定し、人の欲求を5段階の階層で理論化しました。その5段階は下から、生理的欲求、安全の欲求、社会的欲求、承認(尊重)の欲求、自己実現の欲求で、下層の欲求が満たされないと、その上の段階の欲求が満たされないと説明されます。

現代の日本の新入社員はその多くが、生理的欲求と安全の欲求は満たされています。しかし、人が健やかに日々を暮らしていくためには、このような物質的満足だけあればいいのではありません。その上の階層の社会的欲求のように、家族や組織など、何らかの社会集団に所属して安心感を得たいという欲求が満たされる必要があります。

新社会人生活が始まり、大学やアルバイトの仲間たちと疎遠になった新入社員たちが、所属感や安心を職場に求めることは自然なことです。

話し相手がいない、自分を受け入れてくれているかわからないような生活では、たとえそれが一流企業だとしても寂しい思いはなくなりません。

対処法は「たくさん褒めること」

では、このような新入社員にはどのように対処したらいいのでしょうか。

それは、たくさん褒めることです。

実際に結果がでたときは、そこをしっかり具体的に褒めてあげましょう。褒めるときは、恥ずかしがらずに、他人の前でも褒めましょう。褒められて承認欲求が満たされた人は、物事をポジティブに考え行動することができるようになります。そして、自発的に動き、もっと仕事に邁進するようになります。

本来であれば、仕事の成果やうまくできたことを褒めたいですが、新人であるがゆえに結果が出ない場合は、まずは、仕事に対する前向きな姿勢、やる気のある部分を褒めましょう。褒められた人は嬉しく感じ、自尊心が満たされます。承認欲求が満たされます。自己肯定感が上がり、他人と自分を比べることに固執しなくなります。