高度成長期の流通・外食・小売業界で学んだこと

——そこで岡田卓也イオン名誉会長相談役とお会いしたのが最初ですか。

そうです。それからいろいろなところで、岡田さんにお会いしましたけど、いつもニコニコして、真顔になることがないのではないかと思うほどでしたね。

その後、ジャスコさんだけではなく、ダイエーさん、西武さん、イトーヨーカ堂さんともお付き合いさせていただきました。だから、岡田さん、中内㓛さん、堤清二さん、伊藤雅俊さん、鈴木敏文さん、皆様直接存じ上げています。ちょうど外食産業の勃興期で、マクドナルドの藤田田さん、すかいらーくの茅野亮さん、モスバーガーの櫻田慧さんにも目をかけていただいた。私は皆様より10~20歳くらい下で一番若い世代ですからとてもかわいがっていただきました。

藤田田さんは、「お前には全部勝てるけど、年だけは勝てねぇ(笑)」って。藤田商会でアルバイトをしていたからマクドナルドにくると思っていたのではないかな。まさか、ライバルになるとは思ってもいなかったでしょうね。

流通・外食・小売りは、とても狭い業界なのでお互いよく知っているんですよ。セブン&アイさんは、伊藤雅俊さんの商人道と鈴木敏文さんの組織化をとても参考にさせていただきました。

岡田さんは合併をすることで根を大きく張り巡らすという感じを受けましたね。あの頃の日本は、高度成長期の真っただ中で、みなさん、とても個性がはっきりしていました。それぞれの性格がそのまま経営にも表れていて、だからこそ日本経済もダイナミックな動きができていたのではないかと思います。それぞれが、日本を背負って立つというくらいの気概を持たれていたように思います。

ダイエー・中内㓛のアラモアナSC買収の裏側

——マスメディアの記事バリューということで考えると、やはり中内さんは興味深かったです。

中内さんは、とにかく即断即決、即行動。例えば、ダイエーさんがハワイのアラモアナショッピングセンターを買われましたが、紹介したのは私なんです。本土からハワイ経由で帰る途中、アラモアナのオーナーとお会いして、誰か買う人はいないかって冗談みたいにおっしゃっていたのです。それで、日本に帰ってきて、たまたま中内さんにお会いしたので、アラモアナを買えるかもしれませんよと申し上げたら、気づいたらもう決めていた。同じ話を伊藤さんにしてもまず買わなかったと思いますし、西武の堤さんも買わなかったでしょう。

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