また転職市場で重視される専門性を高めることは、社内でも大切だ。これを西尾氏は「自分が『何屋さん』であるかを定義する」と表現する。

「自分は○○ができる、つまり『○○屋さん』だと言い切れて、会社の中でこの分野なら1番だと自負できるものをつくっておく。経理屋、営業屋、新規事業屋……。専門性がないという課長でも、課のミッションをつくれて、必ず目標達成する『課長屋さん』になれば、ポジションを確立できます」

そして、自分の価値を下げないために意識したいのが、「今のままでいい」と考えないことである。かつては上から指示されたことをやっていれば、最低限の評価はもらえた。しかし、今は成果が重視されて、ただ会社にいるだけでは給料が下がる時代。周囲が成長してる中で同じことを繰り返していると、価値は相対的に下がっていく。

工夫や改善で仕事は楽しく

「なので、仕事をする際、変革や創造を心がける必要があります。といっても難しい話ではなく、『よりよく変える』『新しいことをする』『お客様にもっと喜ばれることをする』ということ。それを念頭に工夫や改善をしていけば、仕事は楽しくなりますから」

西尾氏が重視するのが「仕事を楽しむ」「やりたい仕事をする」ことだった。そうすれば専門性が向上していき、自分の市場価値も上がり、転職も昇進でも通用する人材になるからだ。迷えるミドルはまず目先の仕事を楽しむことから始めてみよう。

西尾 太(にしお・ふとし)
人事コンサルタント

フォー・ノーツ代表取締役社長。「人事の学校」主宰。これまで1万人超の採用、昇格面接、管理職研修、階層別研修を行う。近著に『人事はあなたのココを見ている!』(アルファポリス)。

 

小林 毅(こばやし・たけし)
人材コンサルタント
法務系人材を中心に約14年・延べ5500人の相談、サポートに取り組み、大手企業、ベンチャー企業、外資系企業の採用支援を行う。著書に『転職大全』(朝日新聞出版)など。
(図版作成=大橋 昭一)
関連記事
「私はチームを束ねた」社内公募に何度応募してもお呼びがかからない人の"面接回答"
「あの人は大手から来たからね」と転職先でひんしゅくを買う"大手出身者"の典型的な口癖
「退職は64歳11カ月がベスト」誰も教えてくれない年金受け取りで損をしないためのコツ
「やっぱ仕事せなあかん」創業者利益でブラブラしていた起業家が5年後に会社を買い戻すまで
人前で話すときにちょっと使うだけで一気にプロっぽくなる「魔法の言葉」