通勤や仕事中の病気やケガは労災で治す
通勤中の災害や、仕事中の事故やケガに備えるのが労災です。
労災といえば通勤途中に多くの会社員を巻き込んだ地下鉄サリン事件や、作業に従事した作業員が健康被害にあったアスベスト事件などを思い浮かべますが、近年は過剰労働によるうつ病や自殺なども労災に認定されています。
労災とは労働者災害補償保険の略で、立派な保険です。会社の経営者は労災に入る義務があり、従業員(パートやアルバイトを含む)のために保険料を支払わなくてはなりません。
従業員が業務中や通勤途中にケガや病気になったとき、労災と認められれば治療にかかった費用や看護料、移送費などを全額出してもらえます。
また、それにより会社を休まざるをえなくなると、給料の6割の休業補償給付がもらえます。さらに条件によって休業特別支給金も上乗せされると約8割もらえます。
再就職まで生活を支えてくれる雇用保険
会社員に突然襲ってくるかもしれないのが、リストラや会社の倒産です。自己都合で転職するにしても、収入が一時的に途切れる心配があります。そんなときに頼りになるのが雇用保険、別名・失業保険です。
失業保険がもらえるのは会社に2年以上勤めていて、雇用保険に1年以上入っている人。もらえる金額は、退職前の1日当たりの給料の50〜80%を1日分として、90〜150日分で、年齢や勤続年数によってはもっと多くもらえます。
申請は、住まいの住所を管轄しているハローワークへ。失業中は再就職先まで紹介してくれるありがたい保険です。
老後も安心できる介護保険
40歳以上の人は、全員が介護保険に加入し、健康保険に上乗せして介護保険料を払っています。健康保険は健保組合が運営していますが、介護保険は各自治体が運営しています。
介護が必要であると認定されると、認められた範囲内で介護サービスを自由に選び、利用することができます。介護認定度によりますが、自己負担額は1〜3割です。
65歳以上の高齢者が介護保険を利用できるのはもちろんですが、40歳以上65歳未満の人の初老期における認知症、脳血管疾患など老化にともなう病気によって介護や支援が必要であると認められた場合には利用することができます。
人生のほとんどのリスクをカバーする社会保険
このように私たちは病気やケガをしたら「健康保険」で治し、その間、病院や自宅で療養しても「傷病手当金」や「労災給付」で生活をし、子どもは「医療費無料」、一家の収入源が亡くなったら「遺族年金」がもらえます。
失業したら「失業保険」で収入が途絶えることを防ぎ、再就職先を紹介してもらい、老後に介護状態になったときには「介護保険」、障害者になったら「障害年金」もあります。
さらに、出産費用は「出産育児一時金」が全員に出るし、会社員から「出産手当金」も出ます。会社員の育児休業中は子どもが一歳になるまで育児休業を取れば育児休業給付金が給料の67%(その後最長2歳まで50%)支給されるし、親が介護状態になったら雇用保険から「介護休業給付金」として休んだ日数の給料の67%がもらえます。
私たちは安くはない保険料を払う代わりに、手厚い保障を受けているのです。このような国のお助け制度を「社会保険」といいます。
民間の保険はこれらの社会保険に上乗せする形になります。
まずはしっかりと「社会保険」を使いこなし、その上で最低減必要だと思われる額だけ民間保険に加入するといいでしょう。