保険過多は迷わず解約しよう
現在、必要以上に高額な死亡保障のある生命保険や医療保険に入っている人は、亡くなったり、入院したりしないと、この先もずっと無駄な保険料を払い続けていくことになりかねません。
バブル時代に加入した予定利率の高いお宝貯蓄保険を除き、「死亡保障が大きく保険料が高額な人」「更新で保険料が上がる人」「特約がたくさんついている人」「複数の保険の保障が重複している人」は、不必要なものは解約して保険料を下げ、その分貯金に回したほうがいいかもしれません。
保険は、「当たるか当たらないかわからない不幸くじ」ですが、保険に入ったと思ってお金を貯めておけば、確実に現金が増えるからです。
そのお金は医療費にも使えます。現金はいくらあっても邪魔にはならないので、必要以上に保険料を支払っているなら、健康に留意し、貯蓄をしたほうが賢明です。
サラリーマンは4つの保険に加入済み
サラリーマンなら給料天引きで雇用保険、年金保険、健康保険、介護保険(40歳以上)という公的な4つの保険に加入しています。
あまりにも身近なので忘れがちですが、これらの社会保険に、私たちは毎月、多額の保険料を納めています。また、会社が加入している労災保険の保障も受けられます。
私の友人で中小企業に勤務するSさんの給料明細を見せてもらう機会がありました。ザックリですが、基本給30万円、役職手当15万円、残業手当が5万円、交通費が1万円で支給額は51万円でした。
健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料はトータルで月約7万6000円です。社会保険料は会社が半分払う労使折半(雇用保険を除く)なので、Sさんは月15万円もの保険に入っていることになります。
これらはSさんに万が一のことが起きた場合、いの一番に助けてくれる保険でしょう。まずこれらの保険の機能をチェックし、足りないと感じてから民間の保険に入っても遅くはありません。
ここからは、実は驚くべき「社会保険の威力」を見ていきます。
大黒柱の死亡で遺族年金がもらえる
一家の大黒柱として働く配偶者が死亡したとき、残された家族の生活が困窮しないように支給されるのが遺族年金です。
故人が国民年金加入者であった場合、要件を満たせば「遺族基礎年金」を受給できます。故人が厚生年金加入者であった場合、要件を満たせば「遺族厚生年金」を受給できます。
支給額は子どもの数によって異なりますが、年収600万円のサラリーマンの場合、妻と子ども2人を残して亡くなったとすると、残された家族には、月に15万円前後の遺族厚生年金が、子どもが18歳になるまで支給されます。
また、サラリーマンであれば、会社からまとまった額の死亡退職金が出る可能性があります。仕事関係が理由で亡くなったとなれば加算もあるでしょう。
さらに、マイホームを購入し、住宅ローンを組んだ配偶者が亡くなったら、団体信用生命保険が残りのローンを払ってくれる可能性もあり、残された家族が家を追い出されることはないでしょう。これはマイホームを持つ強みの1つです。
例えば、一家の大黒柱である夫が亡くなることは、妻にとってとても悲しいことで、これから先、子どもをどう育てていったらよいのか不安になるでしょう。
けれども、その後も住宅ローンがなくなった家に住み、夫の会社から死亡退職金をもらい、子どもが18歳になるまで遺族年金をもらい、妻自身も働けば、民間保険に入らなくても一家が路頭に迷うことはないはずです。
ただ、唯一心配なのは、子どもの教育費用です。夫が亡くなり家計が苦しくなったとしても、子どもが大学や専門学校に進学したいと願うなら叶えてあげたいものです。進学をあきらめるのは亡くなった夫も本意ではないでしょう。
心配なら、子どもの成人まで1人につき1000万円のシンプルな死亡保障を夫は保険で確保しておくとよいでしょう。
なお、子どもが社会人になれば自分で稼ぐので、1000万円の死亡保障はいりません。