マニュアルを説明するだけの営業パーソンは必要ない
一般的に、商売という言葉にはどちらかが得をする=儲ける、というニュアンスがある。しかし、「接点」という発想を用いることで、スムーズに、ビジネスベースに商談を乗せることができると高城氏はいう。「ウィン=ウィン」の関係を構築するということを相手にアピールし、両者に共通したメリットがあると説得することに成功すれば、その接点によりパイプを広げることで、お互いが得をすると感じさせることが可能となる。
「相手も、自分もお互いハッピーになれる提案ができればベスト。このビジネスには双方にメリットがあるということを、相手にきちんと理解してもらうべき。それができれば、相手は気分よくイエスといってくれるはずです」(和田氏)
こうしてみると、営業パーソンには、相手の状況に応じて、臨機応変に対応するコミュニケーション力が不可欠だということがわかる。
「しかし、マニュアルでしか説明できない営業パーソンが多いというのが現実です。人の気持ちを察する力が乏しく、ひたすら商品の説明ばかりしてしまう営業パーソンは少なくありません。話がかみ合わないまま商談がダメになっても、彼らには原因さえわからないはずです」(高城氏)
マニュアルに書いてあることを説明するだけなら、営業パーソンなど必要ない。相手の心を読み、理解したうえで行動してはじめて、互いの距離が近づき、商談が前に進むものだ。
営業とは、相手の心理を読み、しなやかに相手に合わせながら、自社の利点を相手に訴求していくことなのではないか。顧客が何を悩み、どんな問題に直面しているのか。それを読み、理解したうえでセールスすれば、相手の心にまっすぐ響くはずだ。いったん人間関係を構築しておけば、リピーターとなってくれる確率も高まり、万一リスクが生じたとしても、被害を最小限に抑えることができる。
営業の成否を左右するのは「手腕」よりも「姿勢」である。自分さえよければいいという考え方から、相手のために努力するという考え方にシフトできれば、それだけ相手からイエスをもらえる確率も高まるだろう。
※参考 『法人営業のすべてがわかる本』(高城幸司)、『営業脳をつくる! 和田式「営業マン特別予備校」5日間トレーニング』(和田裕美)