ヒアリングを行う

ヒアリングを始める前に、「御社の事業戦略に最適なご提案をするため、御社の状況について詳しく伺いたいと思います」「お時間は約30分程度、5~6個の質問をさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか」と趣旨を簡潔に説明して、相手の警戒心を解く。続いて、

(1)相手が困っていること(たとえば、現在のスタッフの人数では、仕事量が多すぎて捌ききれないなど)
(2)決裁までの流れ・手続き(誰が稟議を上げ、誰が決裁するのか、キーマンはどこまでの権限を持っているのか、それぞれのプロセスで、どれくらい期間が必要か、キーマンの判断基準など)
(3)自社にとっての競合(○○の分野で相手が最も信頼している企業名、その企業を評価する理由、その企業を超えるために必要な要素など)この3点において相手の状況を詳しく聞き出すことに成功すれば、ここで抽出した課題をベースに、事業戦略に最適な提案を行うことが可能となる。

「留意したいのは、自社の商品やサービスの導入を前提とした質問は行わないこと」と高城氏はいう。なぜなら、限定的な質問をされてしまうと、抱えている本質的な課題や潜在ニーズにまで思考が及ばない可能性があるからだ。よってヒアリングの段階では、テーマを絞らずに質問を投げかけ、自由に回答してもらうのが望ましい。

提案する

 ヒアリングで得られた課題をもとに、後日、顧客に対し説得性の高い提案を行う。ここでのポイントは、(1)オーダーメードの提案になっていること、(2)誰が読んでも理解できる提案になっていること、この2点だ。「この提案は、お客様の現状や今後の戦略に合わせたオーダーメードになっています」と自信を持って伝えられるものでなければならない。また、専門用語だらけの難解な説明では、せっかくよい内容を考えていたとしても、相手にはまず伝わらない。相手にぜひ利用したいと思わせる、リアルでわかりやすい提案を行うよう心がけるべきだ。さらに、「シーンをビジュアル化して見せつつ、『イメージしてみていかがでしょう?』と利用をシミュレーションしてもらうよう促すのも効果的です」(高城氏)。

「『これを購入することによって、あなたの生活がこんなふうに便利になります』というように、どんなふうに役に立つものかを具体的に言葉で伝えると、よりイメージが描きやすいでしょう」(和田氏)