障害の芽を摘み取る

社全体のスタンスをきちんと捉えておかないと、ドタン場でひっくり返されてしまうこともあると高城氏は警告する。これらの確認を怠らないと同時に、相手の本気度がどのくらいなのか、躊躇せず確認すべきだ。

「『御社と取引を行いたく、本気でご提案したいので、単刀直入に伺います。今回の件で、弊社との競合はありますか? この案件において、社内の優先度はどの程度なのですか?』と、私ならストレートに質問します」(高城氏)

提案内容に満足してもらい、色よい返事がもらえたとしても、喜ぶにはまだ早い。「自分の決断に不安を感じている」「提案内容を完全に理解していない」「時期的な問題がある」といったボトルネックがある可能性も考えられる。高城氏によれば、不安材料を打ち消し、購買意欲を自然と促すのは次のフレーズである。

「導入後も我々が全面的にサポートしますのでご安心ください」「御社に損をさせたら私たちも信用を失います。絶対にそんな事態は招かないようにいたしますからご安心ください」

一方、本当は買うつもりがないのに、断るのが悪いからとズルズル引き延ばすという相手もなかにはいると和田氏。

「状況を判断したうえで、『ほしいか、ほしくないか、いま決めてください』と聞くことが望ましい場合もあります」(和田氏)

イエスといわせる

会社内での立場によって、相手の心に響くフレーズは異なってくる。たとえば現場担当者には、「作業負荷がぐっと減ります」「作業時間短縮のこんな機能がついています」と、日々の業務に関わる部分を重視する。一方、決裁者に対する場合は、「○%のコスト削減が期待できます」「導入しない場合、万が一の際に○○○万円の損害が発生することも考えられます」というように、収益に関連するフレーズを前面に出す。

両方の心に刺さるものとするなら、「○○の機能によって、業務が大幅に効率化できます。これを人件費に換算すると、年間○○○万円のコスト削減効果が期待できます」と、メリットを業務・コストの両面からアピールすべきだ。