脳は80歳からでも20代30代と同様に成長する
それでも、脳には「希望」があります。脳は一生未完成だからです。
細かく分けると約120カ所ある脳番地で考えれば、まだまだ使っていない、眠っている脳番地がたくさんある。つまり、電話のようなマルチタスクが苦手な若者も、年を取って後半生に入った人も、これから成長する可能性のある「お宝」ともいえる脳番地が、いくらでも残されているのです。
80歳になったとある経営者のケースです。
この社長さんは、すごく元気で、70代でダンスを始めたり囲碁の有段者になったりと、とても活動的な方でした。ただし80歳の現役社長であるため、座って仕事をする時間が長かったのですね。
そんなある日、「もうちょっと僕の脳が元気になる方法はないですか?」と訊かれたので、「今までやってないことに、チャレンジしてください」と私が言うと、「僕、ドラムはやったことがないんですけど、ドラムでも脳は鍛えられますか?」とのこと。それで、「ドラムは両手両足を使うので、とても良い運動になりますよ」と伝えました。
すると、社長さんは週に1回、ドラムを習い始めて、家でも練習するようになりました。
81歳から脳が「激変」した…
この社長さんのドラムを習う前(80歳時)と1年間ドラムを習ったあと(81時)のMRI画像(図表2)を見てください。
誰でも年齢を重ねると脳はある程度縮んできますし、MRI画像で見ると白く見える箇所(不活発な部分)も増えてきます。
しかし、この社長さんの2つのMRI画像で点線で囲んだ部分を比較すると、81歳になって「枝ぶり」が成長して黒くなっていることが確認できます。明らかに、使っていなかった脳番地が活性化したのです。
80歳の人でも、たった1年で、20代、30代と同じレベルといっていいくらいに脳は成長する可能性を秘めている。どうか、そのことを覚えておいてください。