また彼らは、パラリンピックの開幕に際し、天皇陛下、首相、都知事と並んで列席観覧したバッハIOC会長を名指しで批判するだけでなく、「やる意味がわからない」とオリンピック中止を菅首相の頭ごなしにIOCに忠言しました。

選挙によって選ばれた国民の代表である政府と都知事は批判に耐え、コロナ対策やオリパラを現状に即して粛々と実務をこなしてきました。国際的問題や災害対策など彼らには対応すべきさまざまな仕事があり順列をつけて対応しています。世界中で被害とリンク切れが観測されているコロナ対策の順位は下がり続けています。

写真=時事通信フォト
記者会見する政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長=2021年8月12日、東京・永田町

実情を知る臨床医をアドバイザーに

日本の自滅構造は米国のジャーナリストであるデイヴィッド・ハルバースタム著『ベスト&ブライテスト 栄光と興奮に憑かれて(注18)と同じてつを踏んでいました。これは「最良で最も聡明な人々」がお互いのプライドや権威、傲慢さから泥沼のベトナム戦争を引き起こし、誤りを訂正せず多数の若者を傷つけ米国の未来に暗い影を落とし続けていることを記した名著です。

昨年からテレビに出てくる医師たちも、患者さんの治療よりも「感染爆発」「飲食店で増加」「陽性者が1人でもへらせるように」「若年者にワクチンを勧める」のオンパレードです。

「ときおり長期にわたり治療が必要な人が発生してきます。ワクチンを打っても感染する人もいます。治療対応をしながら社会の分断を回復し経済再生をしましょう」という先生はみかけません。日本のコロナ対策は「最良でも聡明ですらない」人々による人災拡大の点が悲しみを倍増させています。

たとえば、子供へのコロナは無害で広がっていることが観察されています。しかもウイルスが増えないためPCR陽性になりにくいことをお伺いしています。細胞性免疫も誘導し終生免疫が獲得にもなるのなら有益かもしれない、という視点を持つべきだと思っています。もしそうなら子供のクラスター追跡や休校は有害ということになります。臨床を観察し、未来の対策をたてられる患者さんを観察し治療してきた先生をきちんとアドバイザーに迎える必要があります。

治療体制を整えることしか出口はない

国土に土着化したコロナウイルスに、補助金を使った自粛で対応を続けることは社会破壊とジリ貧の自滅しかありません。治療の間口を広げ重症化を防ぎ、それでも長期にわたり少数発生してくるであろう重症者の治療体制を整えることが唯一の出口戦略になります。

そうすれば社会や教育、伝統を守り、経済も上向いていきます。おびえによるワクチン強要も減るでしょう。毎年発生していたインフルエンザ肺炎や脳症治療に対し、ワクチン予防一本やりではなかったことと一緒です。