アドアフィリエイトは違法広告を増やす

アドアフィリエイトの手法を使ったアフィリエイトサイトは、違法広告だらけだ。

アドアフィリエイトという手法自体は、悪いものではない。実際に今も、モラルを持ってアドアフィリエイトに取り組んでいる事業者は存在する。しかし全体としては、法律を守る気のない事業者が多いという現状がある。

アドアフィリエイトは、金銭的リスクが大きい。広告枠を買ったお金をアフィリエイト報酬で取り戻さなければ、赤字になる。そのため、広告内で過激な訴求をしがちになってしまう。

組織としての方針変更に心理的負担があることも、現在の状況を引き起こしている。アフィリエイターの主役は法人だ。法人は個人と違い、ウェブサイトの運営方針を変更することが難しい。

個人アフィリエイターなら、アドアフィリエイトで失敗した場合、自身の意思のみで事業から撤退する判断ができる。

しかし、法人の場合はサイト制作者・運営者が複数人であるため、方針変更には心理的負担と時間がかかる。そのために撤退の判断ができず、違法な表現をしてでも利益を追う傾向がある。

広告枠の値段がオークション形式で決まることも、過激な広告表現の原因になっている。

アフィリエイター側が表示回数を増やし利益を追うには、広告枠を買うための入札単価を上げる必要がある。そして、入札単価を上げるには、それに見合うだけの利益が出ていなければならない。

過激で強い訴求の広告は、違法表現になりがちだが、利益は出やすい。その結果、違法広告を作っている事業者が広告枠を勝ち取り、経済的に成長していく。

違法な事業者が儲け、適法な事業者が駆逐されていく

今回の薬機法違反広告を例にとって、どのように違法広告が作成され、流通していくのかを簡単に説明しよう。図表2を載せた。

図表=筆者作成
【図表2】違法広告の作成・流通の流れ

まず、化粧品等の商品のメーカーが、アフィリエイターや広告代理店に広告を依頼する。次に、アフィリエイターや広告代理店は、広告仲介会社の広告枠を買う。広告仲介会社は、あらかじめ契約していたウェブサイト運営会社から広告枠を仕入れる。

この流れで、アフィリエイターや広告代理店に広告枠が提供される。アフィリエイターや広告代理店が違法広告を作る事業者であれば、ウェブサイトの広告枠の中に違法広告が表示される。

筆者として特に強く問題視しているのは、「適法な事業者が駆逐され、事業ができなくなる」ことだ。

適法で穏当な広告表現をしている事業者は、利幅が小さくなるので、広告枠を買うオークションで負けることが多い。そのため、法律を守っている事業者は、実質的には広告を出せなくなる。広告が出せなければ、事業を継続することは難しい。

違法な事業者が儲かることは、一歩譲れば、許容できるかもしれない。しかし現状では、法律を守る事業者が撤退せざるを得なくなっている。この状況を、筆者は断じて許せない。