メンバーは「立候補制」がベスト

リーダーが決まったら、次はメンバーの選定です。メンバーは、全社員を対象に、「立候補」で選定することをおすすめします。全社員の中から選ばれたメンバーは、使命感を持って仕事をしてくれるからです。

写真=iStock.com/AaronAmat
※写真はイメージです

DXは長い道のりです。順調なときもそうでないときもあります。私自身も、最初はグループの各方面からメンバーを任命してもらいました。ところがプロジェクトが暗礁に乗り上げると、任命されたメンバーは、一転して自己保身に走る人が多くなりました。

対して、自ら立候補した人は、当初の使命感を忘れることなく、共に苦難を乗り越えてくれました。これらの経験から、推進メンバーは全社を対象に、立候補で決めることが望ましいと言えます。

メンバーの選定は、同質化を避けるために様々な部署から選定します。一部の部署から選出して進めると、同質化を生みやすく、現場と意見が乖離してしまいがちです。様々な部署から選出し、全社視点で動くことにより、縦割り組織を融合させます。すると、自然と全社が動き出します。普段あまり交流がないメンバー同士が集まることで、互いに刺激し合い、斬新なアイデアが生まれるからです。

また、メンバーには部署を代表しているという意識を持ってもらうことで、各々の部署を巻き込むことも期待できます。

他社からもプロジェクトに参加してもらう

ただ、自社のメンバーのみだと、アイデアが煮詰まってしまうことがあります。他社からもプロジェクトに積極的に参加してもらうことで、新しい風を吹き込むことが可能になります。

私もデジタル責任者を担っていたときには、取引先やIT企業、メディア企業などの異業種の方々に入ってもらいました。すると、自社では考えもつかなかった斬新なアイデアがたくさん出てきました。

DXを進めるうえで、顧客や社会の視点を持つことは必須です。外部のメンバーをオープンに参加させることで、新たな視点を得ることが期待できます。

推進リーダーやメンバーのスキルが足りない場合があります。そのときは無理をせず、足りないスキルを明確にして、初期段階から経験豊かな外部サポーター(外注会社)をつけることが重要です。

ただし、丸投げは厳禁です。ある一定期間、そのスキルを自社のものとする前提で力を借りることが、自社を強くすることにつながります。とくに足りないスキルは「変革スキル」であるケースが多いので、変革経験のある人材を選定するといいでしょう。変革経験者には、新規事業の立ち上げや起業など、ゼロベースからビジネスを立ち上げた経験のある人をサポーターにつけることをおすすめします。