議論で全員が納得する結論を出すにはどうすればいいのか。元大阪市長の橋下徹氏は「リーダーなどの判断権者は、いずれの主張の『当事者』にも加わらず、双方の主張が出尽くすまで徹底的に議論させたほうがいい」という――。

※本稿は、橋下徹『決断力 誰もが納得する結論の導き方』(PHP新書)の一部を再編集したものです。

元大阪市長の橋下徹氏
撮影=的野弘路
元大阪市長の橋下徹氏

意思決定の仕組み作りのポイントは3つだけ

そもそもビジネスにおいては、決断するための手続き・ルールがはっきりと決まっていないことが多々あります。したがって、リーダーは決断に至るまでのルールを自分で作り上げていかなければなりません。手続的正義(※)に沿った決断をするためのルール作りには、ポイントが3つあります。

※注釈:手続的正義……結果に至る過程・プロセスに正当性があるなら、正しい結果とみなす、という考え方。詳しくは7月8日配信「橋下徹『大接戦だった大阪都構想で米大統領選のような紛糾が起こらなかったワケ』」参照

1.立場、意見が異なる人に主張の機会を与える
2.期限を決める
3.判断権者はいずれの主張の当事者にも加わらない

1つ目は、立場や意見が異なる人にきちんと主張の機会を与えること。法律の世界では、意見の異なる者に、それぞれ主張をする機会が必ず与えられます。裁判においては、原告、被告の一方だけではなく、双方ともに主張機会が与えられます。主張機会の保障は、手続的正義の大原則です。