問題点1「空港内で選手をほったらかし」

「どうして、大会のオフィシャル(運営スタッフ)がゲートまで迎えに来ないのでしょうか?」

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選手など関係者は大会への参加に当たり、「隔離免除」という特例で日本に入国した。欧州から来たチーム役員のひとりは、飛行機を降りたところに運営側誘導役の姿が見当たらないことに「これはおかしい」と感じたという。

「コロナで入国ルールが普段と違うのに、誰もチームのケアをしないなんてどういうつもりなんでしょうね。本気で五輪をやる気があるのでしょうか?」

感染対策上、到着以降の空港内での動線は定まっているが、誘導のスタッフもいなければ、手続きの段取りを書いたペーパーも配られなかった。そうこうしているうちに、同じ便で着いた複数国の選手が混ざり合って手続きを受ける事態になっていた。それでなくても日本の検疫手続きは不合理なほどにチェックポイントが多い。

「われわれが特例ルールで入国すると分かっているのに、対応はおざなりだった」と指摘するチームスタッフのひとりは、「選手は隔離を済ませていないのに、迷子になったらどうするつもりだったのでしょうね」といぶかっている。

今回の大会のスケールを東京五輪本番と比べてみると、飛び込みは26ある実施競技()のひとつで、出場国数は五輪の約5分の1、選手数では20分の1程度となっている。それでもコロナ対策の検疫手続きから入国、税関検査を合計した所要時間は、飛行機を降りたってからおよそ3時間要したという。これが五輪本番で各国選手団が一気に押し寄せると、手続きにかかる時間はどれほどまで膨らむのだろうか。

※一部の類似競技を一括りにした総数

問題点2「24時間監視で心の余裕がない」

次のポイントは宿泊施設での感染対策だ。選手らはホテルに泊まったが、外出はおろか、他の階にも行けない「缶詰め状態」に置かれたという

「日本の規制がとても厳しいので、まったく心の余裕がない」
「せめてホテルの庭や駐車場を自由に歩く機会があればよかった」

ドイツ水泳協会飛び込みヘッドコーチのルッツ・ブシュコウ氏はこう嘆く。

エレベータ前には24時間の監視員つき。選手たちは競技参加どころか精神が病んでしまうような環境に押し込まれていたわけだ。

閉鎖空間にいるのがあまりにつらく、選手たちは規制つきでいいから外出させてくれ、と懇願していたという。コーチが見るに見かねて、「美しいトーキョーをこの目で見たいと言っている」と都内巡りのバスを出してほしいと運営側に訴えたが聞き入れられなかった。

競技会場に向かうシャトルバスの車窓から、人々が自由に行動しているのを見て、「外を歩きたい」と感じたのだろうか。