絶対的理由1 生産性が大幅低下 会議や習慣、すべてをバカが支配

正論に意味はないと気づけないバカ

自分と違う意見をすぐに否定する「バカ」がいると、周囲は自由に発言できなくなります。会社なら会議や議論の場で意見を言うことが難しくなり、バカの一方的な意見ばかりが通るという不条理なことになって、生産性が大きく下がります。

物理学の視点で人間の行動や社会現象を解明する社会物理学では、さまざまなデータを客観的に計測して、どうすれば集団のパフォーマンスを最適化できるかを研究しています。

それによると、会議の成果が最大になるのは、発言の内容には関係なく、参加者全員が均等に発言している場合だとわかりました。参加者の発言時間をスマホのようなデバイスで計測し、一人が長く話すと警告ランプがつくようにすると、それだけでパフォーマンスが10~20%上がったのです。

自己啓発とは、スキルアップなどで人的資本を大きくすることです。これはもちろん大切ですが、いまより10%パフォーマンスを上げようとすると、かなり大変でしょう。ところが会議の発言時間を均等に分配するだけで、これと同じかそれ以上の成果を簡単に上げることができます。

これを私は「集団啓発」と呼んでいます。社会物理学によれば、リーダーは部下一人ひとりを育てて啓発するよりも、集団が最適パフォーマンスになるようにチューニングしたほうが、ずっと大きな成果を簡単に実現できるのです。

みんなが均等にしゃべると、なぜパフォーマンスが上がるのか。それは、参加者がそれぞれの立場から独自のアイデアを持っていて、それを合計すると一人のアイデアを上回るからです。一人が会議を仕切って、狭い世界観に合う発言しか認めないような状態になると、面白いアイデアがあってもそれを共有しようとは思わないでしょう。

みんなが自由に発言できれば、思いもよらないアイデアが出てくる可能性があります。加えて「同じプロジェクトを手がけた会社を知ってますけど、大失敗していますよ」といった貴重な情報も出てきます。

グーグル社などはそれをよく理解しているので、世界中から多様なバックグラウンドを持つ高知能のスタッフを集めています。自分と異なる文化的な背景を持つ人は、異なる発想をします。国籍や性的指向に関係なく、多様な人材がリベラルな雰囲気の中で自由に発言できるようにすると、優れたアウトプットが生まれやすいことは、数学的にも証明されています。

ところがメンバー内に否定ばかり繰り返す者がいると、まったく逆のことが起こります。その人が他人の意見を批判し始めると、面倒くさいから「黙っておこう」となるからです。チームのトップが「否定バカ」の場合は、みんなが忖度して上司の意向に合わせようとするので、アウトプットの質はどんどん下がってしまいます。

チーム全体のパフォーマンスを上げるために大事なのは、個々の意見を批判しないことです。会議では「これが面白いと思います」「こんな失敗をした会社があります」といった情報をどんどん集めて、最終的に決定する人が判断すればいいのです。