48年ぶりに自力で五輪出場を果たしたバスケットボール男子日本代表。チームで随一の高身長を誇るのが、2メートル8センチのジョシュ・ホーキンソン選手だ。アメリカ出身の彼は、「日本人」としてプレーすることを選び、2023年に日本国籍を取得した。著書『日々挑戦、日々成長 不可能を可能にするメンタル強化メソッド』(ワニブックス)より、その理由を紹介する――。
ジムの床にバスケットボールボール
写真=iStock.com/matimix
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「日本のパスポート」までの遠い道のり

2023年2月。官報にはある人物の名前がありました。

「ジョシュア・ハーコン・ホーキンソン」

そうです。これは僕、ジョシュ・ホーキンソンのフルネームです。官報とは、わかりやすく言うと、国が発行している新聞のようなものです。官報にこの名前が出たということはつまり、僕の日本人への帰化が承認されたことを意味していました。

本当に感慨深い瞬間でした。

日本の大半の皆さんは帰化のプロセスがどれほど大変かをご存知ないでしょうが、「日本のパスポート」を手にするまでには数多くの書類を提出し、日本語の試験と面接を受けるなど、気が遠くなるような時間と労力を要するのです。

それだけのプロセスではありましたが、では帰化が承認されて嬉しかったかといえば、その表現はいまひとつしっくり来ません。むしろ、日本人になれたことを「感謝する」気持ちのほうが強かったように思います。そして、日本人となったことでそれまで以上により良い選手になって良いプレーを見せたいという思いが湧いてきました。

約3年が経ち、日本を楽しめるようになった

この承認直後、僕はさっそくトム・ホーバスヘッドコーチ率いる男子日本代表チームの合宿に招集され、ワールドカップ・アジア地区予選の最終Windowに出場するにいたりました。国を代表してプレーできることへの感謝と、貢献したいという思いも強く持っていました。

日本人への帰化を考え始めたのは、僕がファイティングイーグルス名古屋から信州ブレイブウォリアーズへ移った2020年頃です。

アメリカのワシントン州立大学を卒業して日本のBリーグでプレーを始めてから3年ほどが経っていましたが、この頃になると僕も日本に慣れ、この国で生活することを本当に楽しめるようになっていました。

最初の2年は日本語があまりできずに苦労もありましたが、それでもこの国で過ごしていくうちに、もっと日本にいる覚悟を決めてプレーをしたいと思うようになっていったのです。同時に、自分が日本にずっと暮らし続ける姿が想像できるようになっていました。