モヤモヤした「人生の不安」を軽減するための方法

女性が生き抜くための術
その2「漠然とした人生やお金に関する不安を軽減する」

フェイスブックCOOのシェリル・サンドバーグ氏の著書『LEAN IN』(日経BP社)のなかでは、仕事とプライベートの両立に関する相談にきた社内の若い女性社員が、出産の予定がなく、またボーイフレンドもいなかった、といった事例に基づき、現代の女性は若いうちから、「バリバリ働く」か「いいお母さんになる」かのどちらかを選ばなければならない状況にある、と分析しています。

仕事のキャリアとプライベート充実を両立させるのは険しい、と最初から諦めているのかもしれません。加えて、現在はコロナ禍による不安もあります。よって、女性がライフイベントに対する漠然とした不安は大きくなるばかりです。これを軽減する方策のひとつが金融リテラシーを身に付けることです。

ライフイベント(結婚・離婚/妊娠・出産・子育て/不動産購入/転職・失業/病気・けが/老後、ほか)で知っておくべきお金のことについては、インターネットなどを活用して、主体的に情報を取得することは誰でもできます。私たちの生活とお金への不安は切っても切れない問題ですが、ライフイベントごとにかかるお金や国の制度のことをきちんと知るだけでも、将来の漠然とした不安を減らすことに役立ちます。

小島 明子、橋爪 麻紀子、黒田 一賢『「わたし」のための金融リテラシー』(一般社団法人金融財政事情研究会)

ただし、残念ながらお金や国の制度を知るだけでは、生活を守ることはできても、お金を増やすことまではできません。日本では低金利が続いており、自分の資産を増やすためには、投資を行うことが基本となります。投資がうまくいかなければ、投資した資金が減ることもありますので注意が必要ですが、(投資をするかしないかは別として)金融や経済に関する知識を学ぶことは、厳しい社会を生き抜く上では重要です。

最近話題になっているESG投資やSDGsを中心とした新たなお金の流れや社会の変化について学び、知ることは、今後の私たちが将来のキャリアの方向性を決める上でも参考になります。

日々の生活を送るためにお金は必要不可欠なものであり、経済的な余裕がなければ、キャリアを考える余裕がない方もいるでしょう。しかし、不確実な時代だからこそ、自分が望むキャリアをしっかり考え、その目標に向かうなかで身に付けた金融リテラシーを活かして行動していくことが、自分らしいキャリアを実現していく上では、大切なのではないでしょうか。

人生の8割を占める“偶然”に乗れる人拒む人

女性が生き抜くための術
その3「不遇なときも前向きな姿勢がキャリアを拓く」

女性に限らず、誰でも人生を生きていれば、思い通りにいかないことはたくさん経験します。今の時期においては、入社した会社がコロナで業績不振になってしまい転職せざるを得なくなってしまった、希望していない転勤や部署、チームに異動させられてしまった、という方もいるでしょう。

米スタンフォード大学のクランボルツ教授(※)は『その幸運は偶然ではないんです!』(ダイヤモンド社)の中で「計画された偶発性理論(Planned Happenstance Theory)」というキャリア理論を提唱しています。

これは「個人のキャリアの8割は予測しない偶発的なことによって決定される」とし、その予期しない偶然の出来事にベストを尽くして対応する経験を積み重ねていくことで、より良いキャリアを形成していく、という考え方です。

たとえ、自分にとって思い通りにならない予期せぬ出来事が起こったとしても、それを無理に避けるのではなく、当人の主体性や努力によって最大限に活用することがより良いキャリアを拓くことにつながることを示しています。