点眼薬の防腐剤で傷がつく可能性も。4人に1人が「さし過ぎ」

目に不快感を感じたときのセルフケア法として点眼薬を使う人は多いだろう。「正しく使えば有効なセルフケア法だが、誤った使い方によってかえって症状を悪化させている人もいる」と指摘するのは、杏林大学医学部眼科学教授の山田昌和先生だ。

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コロナ禍の点眼薬使用実態調査(※)によると、点眼薬ユーザーの47.5%がコロナ禍で点眼薬の使用回数が増加していると答え、全体の26.0%が適正回数を超える7回以上点眼していることが判明した。「回数の上限にこだわらず、症状を感じるたびにさしている」と答えた人は全体の48.8%で、約半数が点眼薬の使用回数を意識していないことが浮き彫りになった。

※現代人の角膜ケア研究室「コロナ禍の点眼薬使用実態調査」(n=638)

山田先生によると、点眼薬を適正回数以上さすと涙の油膜層が破壊されてしまい、角膜に傷がついてしまうことがあるという。また、多くの点眼薬には雑菌の繁殖を防ぐための防腐剤(塩化ベンザルコニウム等)が入っているが、すでに角膜が傷ついている人がこれらを使用すると、適正使用回数内でも傷を悪化させてしまう恐れがあるという。

「点眼薬の使い過ぎや防腐剤の影響により、かえって角膜の傷を悪化させてしまっている可能性も。目の不快症状→点眼薬の回数が増える→傷がますます悪化する、という負のスパイラルを断ち切るには、正しい点眼薬の選び方、使い方が大切」と話す。

正しい点眼薬の使い方とは

適正回数は1日5~6回。例えば、下記のタイミングで使用したうえで、リフレッシュでさすのは1日1~2回にとどめるといい。症状が軽いうちに使うことで、さし過ぎを防げる。

1.起床時(おすすめ)
……最も眼球が乾いているのが起床時。目をこする前に、起き抜けに点眼するのが効果的
2.昼休み
3.3時の休憩時
4.夕食の前
「点眼は1滴で十分効果があります。眼球を潤している涙の量は10µl(マイクロリットル)で、点眼薬の1滴はこの5倍の量に相当します。目が乾くからと2滴・3滴と使うと自前の涙液を洗い流してしまうことに。防腐剤の有無に関わらず、さし過ぎには注意を」(山田先生)

適切な点眼薬の選び方を知ろう

角膜への影響が少ない防腐剤無添加のもので、角膜修復効果のあるものを選ぶ。清涼感があるタイプの点眼薬をリフレッシュ目的で使うのは、1日1~2回まで。白目の充血を取るタイプの点眼薬は気になるときのみの使用にとどめ、常用しないほうがいいという。

角膜に傷がつくリスクが高いニューノーマル時代。正しいセルフケアと、アイケア習慣を取り入れて、できるかぎり目をいたわりたいもの。症状が改善しない場合は、早めに眼科を受診することも大切だ。

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