そして、次の悪者探しが始まる
誰かを悪者にし、叩くことによって留飲を下げたり、「自分は正しい」「自分は言われたとおり我慢している。感染しているのは身勝手で腑抜けた連中だ」と自己正当化したりすることが可能になる。
次の「悪者」は一体誰になるのだろうか。私は「ゴールデンウイークに遊びまわる若者」あたりが吊し上げられると予想する。そして万が一、今年7月の都議選で、自分が支持しない候補者の事務所でクラスターが発生したとなれば、その候補者や所属政党を悪者扱いする人が続出するだろう。
7月23日からは東京五輪が開催予定だ。ここでは「夜の路上で大騒ぎしながら酒を飲む外国人」が悪者候補として有力である。競技が無観客でおこなわれることになったとしても、関係者や審判たちは数多く来日するはずだ。五輪に関連して、再び海外から変異株がもたらされたら、どうなるか。
人々の恐怖は、まだまだ終わらない。
・コロナ騒動の経緯を振り返ると、折々で誰かを「悪者」にしてきたことがよくわかる。その背景には集団心理や政治的思惑が潜んでおり、翻弄された人々はさまざまな場面で冷静な判断ができなくなっているように感じる。
・人々が本当に恐れている対象は、コロナウイルスではなく「自分以外の人間」になっているのではないか。