中国はこのルートに鉄道を敷く計画も立てている。国境を介して、雲南省の省都・昆明から中緬国境(瑞麗、ムセ)、ミャンマーのマンダレーを経由し、チャウピューまでのおよそ900キロをつなごうという計画だ。今回のクーデター勃発後、国境のミャンマー側では、意図的に「トラックが壊れた」として国道を塞ぎ、中国側からの軍隊侵入に備えたという話もある。現状では、マンダレー・ムセ間の鉄道はないが、中国としてはミャンマーでの物流インフラは是が非でも確保したい。

「下手に手を出せない」中国の胸の内は

さらにこんな報道もある。軍政のクーデターが起こるや否や、中国が主導するミャンマーのミッソンダム(水力発電)建設計画が亡霊のように蘇ってきたのだ。軍政末期の2009年に建設が始まったものの住民の猛反対で工事が中断、2016年のアウンサンスーチー氏が党首を務めるNLD政権発足で棚上げになっていた。

完成すればミャンマー最大級の発電所となるが、発電量の9割が雲南省に送られるという中国を利するプロジェクトだ。残りの1割はミャンマーへ無料で供電すると中国は言っているものの、本来なら環境保全、特に下流域の稲作への影響を考えるとさらなるコンセンサスの形成が必要な案件とみられる。

国軍政権がしばらく継続すると見込めば、中国は一気に鉄道やダムの建設にも踏み切るのだろうか。

写真=iStock.com/silkwayrain
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ミャンマーで民主化を求めるデモの様子は、予想以上の大きな高まりに達している。もしも中国が国軍に対し、クーデターへの「お墨付き」を与えていたのなら、どう対処するべきか困っているかもしれない。下手に武力行使に出れば、国際的な非難や制裁はミャンマー国軍に向きつつも、国民の非難は中国にも向けられるだろう。ミャンマーという絶好の「地の利」を得たい中国としては、難しい舵取りを迫られているのではないだろうか。

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