「中国が国軍を支援している」噂が飛び交う
ミャンマーで起きた軍事クーデターから1カ月がたった。地元メディアによると、2月28日は国軍の発砲などによって10人以上が死亡。平和的な行動が多かったデモだが、国軍の締めつけによってその様相は悪化している。
そんななか、市民の間では「中国の軍人たちがミャンマーに忍び込み、国軍の支援をしている」という、中国の関与にまつわるさまざまな噂が飛び交っている。
こうした状況を現地からの報道や過去からの経緯をもとに分析してみた。中国による、外交上の空白を狙った国軍との癒着具合が改めて浮き上がってくるようだ。
ミャンマー国民の軍政に対する反抗心は外部の人間には計り知れないものがある。
かつての軍政下のミャンマーでは、言論の自由がなく、軍政に反対すれば即座に弾圧、投獄。違法な強制労働や虐殺も起きていた。
2011年にようやく民政移管が実現し、ミャンマー市民たちはようやく「暗黒の時代」から抜けられた。2015年11月に実施された総選挙ではアウンサンスーチー氏率いる国民民主連盟(NLD)が圧倒的な勝利を収める。
ミャンマーは「アジア最後のフロンティア」と評され、日本を含む各国が競って投資を実行。国民はインターネットを通じ、国外の自由で豊かな様子を見られるようになり、外国旅行へも行けるようになるなど、過去5年余りの間、社会活動における制限を感じることなく暮らしてきた。
クーデターを起こした国軍に対し、市民が徹底抗戦を起こしているのは「軍政時代の自由がない暮らしに逆行するのはまっぴら」という理由が最も大きい。
「国軍に混じって中国語を喋る声が聞こえた」
クーデター勃発以来、ミャンマー国民の間では、国軍に対し中国の関与を疑う声が止まない。複数の海外メディアは、以下の事実について一定の証拠が見られるとして報じている。
2.中国で行われているようなインターネット規制を実施するため、中国のIT技術者が国軍によって密かに招かれた。
3.中国の王毅外相が1月にミャンマーを訪問した際、国軍がクーデター実施の意向を伝え、承諾を得た。
4.中国からの関係者招聘や軍事物資の輸入のため、雲南省昆明市との間をミャンマー機が何度も往復している。
「中国軍」の関与をめぐっては、その証拠をなんとしても得てやろうと考えている市民も多いとされ、「自分たちよりも色白の軍人がいた」、「国軍に混じって中国語を喋っている声が聞こえた」などの情報がある。