国民の危機意識の状況自体が日本政府のハンパな施策を下支え
もちろん、これは経済的な危機感の推移であり、病気や心身に関わる危機感の推移とは同一ではない。しかし、それについても似た推移をたどっていると解することは可能である。「ウィズ・コロナ」あるいは「コロナ疲れ」「コロナ慣れ」と呼ばれる意識変化がそうした状況を生んでいると考えられる。
こうした日本人の危機意識の推移が、第2波や今回の第3波という感染拡大の波動をもたらしているといえる。
政権や地方自治体のコロナ対応方針がこうした危機意識の状況をもたらしたのか、それとも国民の危機意識の状況が政府の方針決定に影響を与えたのかは微妙である。両方の側面があったのではないかと考えられよう。
ヒトの移動促進による経済刺激策であるGoToトラベル事業を一時停止せず基本的に継続する方針の政府の姿勢に、医療関係者など感染症対応の現場やそれと同調するマスコミは批判的である。
そのため、いま以上に感染拡大の被害が拡大していくとしたら、犯人探しが深刻化していくであろうが、あまり不毛な議論に陥らないためには、国民の危機意識の状況自体がそうした政府の施策を下支えしている面にもっと注目しておいてよいのではなかろうか。