スタッフにもいろいろなタイプがいる。たとえば、意見を持っているけれども積極的には発言しないタイプ。こういう人には、会議の途中で「君の意見は?」と聞く。そして、どんな意見でも否定をせず、まずは自信をつけさせる。さらに、ちょっとした発言でも褒めて、積極性を引き出すようにする。


「社長の話は思いつき」。そう思われれば成功

一方、いつも積極的に発言する人の場合は、逆にあまり褒めないように意識している。

業務の関係で、私との距離が近い人に対しては、わざと突き放し、辛口の言葉を投げかける場合もある。ただし、あまり深刻にならないよう気をつけている。発言することへのハードルを低くするためには、適度に柔らかい雰囲気を保つことも必要だ。まじめな会議ではあるけれど、半面笑いがあり、楽しめる要素があるというイメージである。

というのも、われわれの会社は、役所や銀行とは違って会議に慣れたホワイトカラーの集まりではない。テーブルを囲んで意見を言うのは初めて、という人もたくさんいる。そういう人たちを巻き込んでいくには、会議そのものをわかりやすく、楽しめる雰囲気にしなければならないのである。

1つ気をつけなくてはならないのは、上意下達の文化が染みついている組織に対して、あまりせっかちに侃々諤々型の会議を持ち込もうとすると、逆効果になることもあるという点だ。自由に意見を言い合うよりも、「とにかくリーダーに決めてほしい」という人たちも思いのほか多いのだ。

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リーダー(経営者)が会議において留意すべき3ポイント

そのため、自由に発言する会議へと変化するのを待つ間の緊急避難的なやり方として、私自身が独断専行で話を進めるケースもある。だが、いずれの場合でも、私が最も重要視しているのは、一人ひとりのスタッフに、「自分の意見が会社の意思決定に影響を与えている」「経営に参画している」と感じてもらうことだ。

そもそも私の経営スタイルは、「観光業には人がきてくれない」「定着しない」という悩みから出発している。

意見を言えない人には発言を促したり、雰囲気を盛り上げたりすることで会議の満足感を引き上げるのも、根底には「どうやったら良い人材に入社してもらえるか」「どうやったら社員がやりがいを感じ定着してくれるか」という思いがあるからだ。

会議での決定事項に共感を引き出せたら、決定事項についての実行力も格段に高くなるのである。

(面澤淳市=構成 相澤 正=撮影)