「流通」と「販売」で守旧派をはね返す

1998年4月、営業本部の営業主幹として、新しい流通体制を築くため、特約代理店と議論を進めていると、異動が発令された。次は、改修時の水回り設備を扱うリモデル企画部長だ、という。

TOTO会長 張本邦雄

前々から、異動の話は流れていた。冗談ではない。バブルがはじけ、デフレ色が濃くなるなか、危機感を共有した特約店と、重要な見直し作業に取り組んでいた。担当役員に「部長になど、しないで下さい。主幹というのが、改革に当たってフットワークが軽くて、いい立場なのです」と要請した。だが、ある日、役員は「ごめん、やはり、あなたがリモデル企画部長だ」と告げ、「何もしないでいいから、なってくれ」と言った。

組織人である以上、出世したいかしたくないかと言えば、それはしたいのが本音。でも、いま手がけている作業は、TOTOのためでもあるが、全国の800を超える特約店の存続のためにも、急ぐべきことだ。そう、確信していたし、人間には譲ってはいけないことがある。だから、役員の言葉通り、肩書が変わっても、流通改革の作業を続けた。47歳のときだ。