お客様への提案力がない、訪問数など行動量が少ない……。伸び悩んでいる営業マンの問題はどこにあるのか。そして成約のための機転が利く発想はどうすれば生まれるのか?
「発想」というと、画期的だったり、大逆転の斬新なアイデアを思いつくことと考えがちであるが、はたして営業の現場にそれが本当に必要なのであろうか?
「全員がスティーブ・ジョブズを目指してなれるわけではない」と語るのは、過去2000社以上に対する営業コンサルの実績を誇るソフトブレーン・サービスの野部剛社長と小松弘明会長。
同社の資料によれば、理想の上司のタイプの第1位は「成長に導いてくれること」であり、逆に「指示があいまい」ということが不満の1位である。
「自由な発想力で仕事に取り組め」と言われても、指示には具体性が欠けており、ひと昔前の「気合と根性で売ってこい」と何ら変わらないというのだ。部下が伸びないと悩む前にすべきことはあるはず。
「集団には2-6-2の法則があるといわれています。上位2割は『自己成長モデル』といわれ、自ら気づき、行動できるグループです。過去のトップセールスがそのまま営業マネジャーになった場合などで、自分にできることは他人(部下)にもできて当然と考えがちなのですが、実際6割を占める『現状維持モデル』に属する人たちは気づいても行動に移せないことが多いのです」(野部氏)
古典芸能の世界には「守破離(しゅはり)」という考えがある。何ものにもとらわれない「新境地」に至るためには、守るべき「型」を身に付けることが第一歩であると教える。営業においても同様で、「売れる発想を生む」ためには、上司はまずは「売れる型」を指示することから始める必要がある。営業に必要な発想は、地に足のついたささやかな工夫、小さな改善の積み重ねと考えたほうが効率的なのだ。