信頼関係第一に地球8周分を巡る

世紀が変わるころの約3年間、毎月のように、拠点としていた兵庫県・高砂から米国へ出かけた。1998年秋に6年半に及ぶベルギー勤務から帰国し、高砂の合成樹脂研究センターで、合成樹脂の強化剤や改質剤の開発を指揮していた。40代を迎えた時期だ。

カネカ社長 角倉 護

テキサス州ヒューストンにある子会社から「新製品をやりたい」との話がきていた。狙うは、アクリル樹脂向けの強化剤。強度と透明性が要求される車の尾灯用樹脂や、サイディングと呼ぶ住宅の外壁に張り付ける板材用の樹脂向けに、有望だった。アクリルは日本の化学業界でも戦略分野とされ、鐘淵化学工業(現・カネカ)も強化剤の開発に力を入れた。ただ、難問が多く、帰国したときには、まだ物になっていない。