優れた技術だけで市場は拡大しない

2006年5月、初めての東京勤務となった。46歳。大阪市で生まれ、大学は博士号の取得まで京都で過ごし、入社して配属されたのは兵庫県・高砂の合成樹脂研究所。以来、ベルギー勤務をはさんで、ずっと高砂の機能性樹脂部門で、樹脂の強化剤や改質剤などの開発、量産化に携わってきた。

カネカ社長 角倉 護

だが、ある日、突然、上司だった菅原公一・現会長に言われる。「きみは、もう高砂での仕事はいい。東京へいって、事業部の戦略スタッフを経験しなさい」。研究技術グループリーダーの肩書は残したまま、機能性樹脂の戦略立案を担う「技術統括担当」(東京駐在)となる内示だった。