聞き手を飽きさせない表現テクニックを身につけよう
さて次は、伝えたいことをより効果的に伝えるための、相手を引きつける表現テクニックです。
すでにお話ししたように、アナウンサーというのはテレビの前ですっかりリラックスしている視聴者に内容を一度で理解してもらうだけでなく、そのニュースの要点をきちんと届けなければなりません。
もし、一本調子で淡々と話してしまうと、大事なところが埋もれてしまい、伝えたいことが伝わらず、印象にも残りません。
そこで、重要なところを強調したり、必要に応じて間をおいたりする表現テクニックを使っているのです。
こうした表現テクニックは、大勢を前にしたスピーチやプレゼンだけでなく、聞き手の集中力が途切れやすく、限られた時間の中で必要なことを伝えなければならないオンラインコミュニケーションにおいては、特に重要な役割を持ちます。
10月21日配信「 オンライン会議で『相手の目を見てしっかりうなずく』がNGな理由」で、自分の気持ちを相手に伝えるには3倍増しのテンションで表現しなければ伝わらないとお話ししましたが、こうした表現テクニックを用いれば、伝えたいことを効果的に強調することができます。
表現テクニックの中でも代表的なのは抑揚、つまり音の高低差をつけるテクニックです。
例えば音楽であっても、あまり音程に変化のない曲を聴いているときは長くなるにつれ飽きやすくなります。人の話もそれと同じで、高低差のない話し方は単調に聞こえやすく、聞いているほうは平坦な道をただ歩いているような感覚に陥り、話が長くなるとつい眠くなってしまいます。オンラインの場合はなおさらでしょう。
一方、抑揚がつくとそこに変化が生まれるので、聞き手も退屈しません。アップダウンのある道を歩くのと同じように、オンラインでも聞き手を飽きさせない話し方が可能になります。
抑揚は「音の高さ」がポイント
抑揚をつける方法は二つあります。
一つは、上の図表1のように、単語の中の一つ一つの音に高低差をつける方法です。これだけで言葉にぐっと躍動感が出ます。
そしてもう一つは、文章全体の中で強調したい箇所、つまり、ここがポイントという箇所は、少し高い音で話し始めることで抑揚をつける方法です。
試しに次の文章を読んでみてください。
人とAIとの協業に投資することにより、2022年までに38%の収益効果が可能だと推測されています。また、生産性の向上だけでなく新しいビジネスの創造や革新にもつながります。