脱落音があると、対面でもだらしない印象に

特に聞き取りにくい音を発音する際の、舌や唇の動きなど目安となるポイントを以下に挙げておきますので、参考にしてみてください。

カ行→舌の付け根をうわあごの裏につけ、しっかりと口の奥を狭くして発音する
サ行→上下の歯の隙間から息を勢いよく出す
タ行、ナ行→舌の先の方を上の歯の裏にぴったりとくっつけてから発音する
ハ行→口をしっかりと開け息をしっかりと吐き出しながら発音する
マ行→口を開けるときに上下の唇の摩擦を意識する
ラ行→舌先をとがらせて、上下にバウンドさせるように発音する
パ(バ)行→唇をすりあわせながら、破裂させるような音を出す

聞き取りやすく話すためには、脱落音と呼ばれる、発音できていない(抜け落ちている)音をつくらないことが大事です。

脱落音が多い人には、先に挙げたような難しい音が発音できていなかったり、母音(a i u e o)が抜け落ちたりしている特徴があります。

例えば、「ありがとうございます」を正しく一音一音発音すると、

A RI GA TO U GO ZA I MA SU

となります。

でも、脱落音がある人の場合、

「あざ〜す」

のように聞こえることがあります。

丁寧な発音は人格をも美しく見せる

これは少し極端な例ですが、母音まで意識して一音一音丁寧に発音しないと、相手に雑な印象を与える発音になってしまいます。

たかが話し方と思っていても、時に話し方は〈人格〉として伝わってしまうこともあります。

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写真=iStock.com/filadendron
※写真はイメージです

文字も人格を表すといいますが、文字を書くときも、丁寧に書いてあったり、大きさが揃っているほうが美しく見えますよね。話し方にも同じことが言えます。

つまり、話し上手でなくとも、一音一音丁寧に発音された「粒の揃った音」は、その人の〈人格〉をも美しく見せてしまうのです。アナウンサーの発音が美しく、聞き取りやすいのは、脱落音がない、正確な発音をしっかりトレーニングしているからなのです。

このように明瞭な発音は、聞きとりやすいだけでなく、知的な印象をも相手に与えることができますのでぜひ心がけてみてください。