初めての投資で学んだ3つの教訓

多くの投資家が指摘しているように「知らない」ことは最大のリスクの一つである。バフェットが購入した株も市場の低迷によって株価が27ドルになってしまった。一株当たり11ドル、3株で33ドルの損失だ。バフェットにとってもドリスにとっても大金だ。

ドリスから毎日のように責め立てられたバフェットは株価が回復して40ドルになった時に売却、1人当たり6ドルの利益を手にしている。ドリスはバフェットを「やり手」と褒めたが、バフェットにとって初めての株式投資は忘れられない失敗となった。

その後、株価は一株当たり202ドルにまで上昇、売らずに持ち続けていれば3株で500ドル近い利益を手にすることができた。バフェットは3つの教訓を学んだ。

1、買った時の株価に拘泥してはいけない。
2、よく考えないで慌てて小さな利益を得ようとしてはいけない。
3、他人のお金を使って投資してはいけない。

自分のお金なら下がっても「待つ」ことができるが、他人のお金に責任を負っているとそうはいかない。それでも「自分がよく知る」企業であれば、たとえ株価が下がっても「自信を持って待つ」こともできるが、よく知らない企業だと、それこそ「株価が下がっているから」「みんなが売っているから」という理由で慌てて売ることになりかねない。

「よく知る」ことと「信じて待つ」こと

バフェットは11歳の失敗からこう考えるようになった。

「今日や明日、来月に株価が上がろうが下がろうが、私にはどうでもいいのです」

ベンジャミン・グレアムも言っているように株式市場は「短期的には投票計、長期的には重量計」(前出『スノーボール(改訂新版)ウォーレン・バフェット伝』)となる。市場の人気に左右されて株価は上がったり下がったりを繰り返すが、有能な経営者に率いられた競争力の事業であれば、その企業の株価はやがて実力に見合ったものになる。

株式投資において大切なのは日々の株価の変動に一喜一憂することではなく、投資する企業を「よく知る」ことと、「信じて待つ」ことだ。バフェットの投資家としてのスタートは11歳の時の失敗と、その教訓を生かすことから始まっている。

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