白砂糖の倍近い値段の「きび糖」を使用

入社から4年。成城石井のスイーツへの信頼が高まっていく中で、満を持して企画を出す。素材にもこだわり抜いた。スポンジ生地には、きび糖を使った。

「きび糖の素朴な味わいが好きなんです。白砂糖ですっきりさせるというよりも。値段は高いですけどね」

きび糖は白砂糖の倍近くする。クリームチーズもいろんなものを試した。

成城石井自家製 プレミアムチーズケーキ(画像提供=成城石井)

「有名なブランドのものなども試しましたが、最終的にはオセアニア、オーストラリア産のものを選びました。ヨーロッパ、フランス産のものほど癖がないからです」

土地によって牛のミルクの味が違うのだという。仕上がってくるチーズの味も、それに伴って違ってくるのだ。

「その中で、一番安定して安全な工場で作られているメーカーさんのものを使っています」

バターをふんだんに使い、シュトロイゼルの部分もアーモンドプードルが30%以上入っている。

「アーモンドプードルは、小麦粉に比べたら相当、高価です。実はアーモンドプードルを入れなくても同じような状態にはなるんです。だから、同じようなものを作ろうとするときには、真っ先にアーモンドプードルの比率を下げるでしょうね」

生地にかける時間は通常の3~4倍

レーズンとアーモンドは、カリフォルニア産。

「特別なものを使っているわけではありません。当たり前のものを当たり前に使っている。ただ、安価な原材料で作っていこうという発想はまったくありません。ですから、このボリューム感でこの味、この価格となると、これは成城石井ならではだと思います。他では絶対にできない。食材をこれだけふんだんに使ってもこの価格で収まるというのは、お客さまの多さがあってこそ、なんです」

製法にもこだわった。チーズケーキ生地は一般的なものの3~4倍の時間をかけ、機械で徹底的に混ぜ合わせる。

「空気が入らないよう、低速でゆっくりゆっくり回しています」

食感のアクセントとなるアーモンドは、焙煎した瞬間から酸化し、風味が落ちてしまうので、毎日約1時間かけ、セントラルキッチンで生のスライスアーモンドを焙煎している。

「単にアーモンドを入れる、と考えると粉砕された小さなつぶつぶになりかねない。スライスで大きなものが入っているのがいいんです。ただ、スライスですからローストするときに手間がかかる。焼き加減を見てひっくり返すのは、人の手ですから」