「今年は入試が厳しい」は言ってはいけない

1学期は塾で対面授業ができず、オンライン授業になったり、夏休みの夏期講習のスケジュールに大きな変更があったりと、イレギュラー続きの今年の受験生。例年通りではないこの状況に、不安を感じる親もいるだろう。だからといって、「うちの子はついていない」「今年の受験生はかわいそう」と思ったところで、どうにもならない。であれば、コロナ禍を特別視しないことだ。

結局のところ、基礎力がある子は合格するし、基礎力のない子は受からない。それは、コロナ禍に関係ない。むしろ、今年を特別視しすぎて、「他の子はもっと勉強しているわよ!」「今年は特に入試が厳しいから、頑張らないと!」と、子どもを不安にさせる言葉を投げてしまうことを懸念している。不安な気持ちでいるのは、子どもも同じだ。そんなときこそ、「○○すれば、よさそうだね」「あと○○をすれば、合格点に届きそうだね」と、合格できるかもしれないという成功の予感を感じさせる言葉を渡してあげてほしい。そうすれば、子どもも「よし! あと少しだ、頑張るぞ!」と前向きな気持ちになるだろう。

中学受験の最終ゴールは志望校に合格すること

夏休みが終わり、9月から志望校別日曜特訓が始まる。しかし、ここへ行く価値のある子は、すでに仕上がっているほんの一握りの子だけ。多くの子は、まだ苦手がたくさん残っている。塾では受講はマストと言うが、私は無理に参加しなくてもいいと思っている。御三家をはじめとする冠クラスであればいいが、その他偏差値を輪切りにしただけのクラスは、問題傾向もバラバラで無駄が多い。それならば、自分の苦手に向き合い、それを克服した方がよほど効果は高い。

中学受験の最終ゴールは志望校に合格することだ。6年生の夏以降は、塾のカリキュラムに縛られず、今必要なことを取捨選択して、無駄のない勉強をしよう。コロナ禍を特別視せず、落ち着いてやるべきことしっかりやっていればいい。ここで正しい取捨選択ができるかどうかが、合否の分かれ道になるだろう。

(構成=石渡真由美)
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