「外出先で酒が飲めないこと」の持つ意味
地方移住して初めの頃はいいのですが、1、2年経つと「新しい出会いが不足する」と言い出す人が結構いらっしゃるようです。地方に戻った当初は出会う人すべてが新しい出会いなのですが、1年も経つとそれでメンツは固定されてしまう。それから先は新しい人との出会いはない。
これが都会だったら誘われて飲み会に行くたびに誰か新しい人と出会い、新しい話を聞いて刺激を受け、それがきっかけで新しい世界を知るという展開が普通に行われます。そのような知人や世界の新陳代謝が地方ではなくなってしまうというのです。
いや、そもそもの本質的な問題がもうひとつあります。それは「外出先で酒が飲めないこと」。車を運転しないと居酒屋に顔を出すこともできないのですから。
大口クライアントが経費削減に動いたとしたら……
これまでの話はある程度、地方移住する前に検討できるものばかりですが、これからお話しする2つのリスクは事前に検討できないものです。
今は会社が政府の旗振りどおりにリモートワークや働き方改革を推進して調子のいい状況だとします。しかし今後、新型コロナ、ないしは業界構造そのものの問題がきっかけで、会社が大規模なリストラを計画するとしたらどうでしょう。
「いやいや、うちはIT企業だから大丈夫」
というかもしれませんが、もしIT企業としての取引先が大手航空会社や大手自動車メーカーだったとして、大口クライアントがコロナの影響で経費削減に動いたとしたら? そもそも本当に会社が安泰かどうかはプロのコンサルタントでもなかなか見抜くのが難しい経済問題のひとつです。
そして本当に会社の業績が悪くなり、会社がリストラを計画するようになったとして、その情報をいち早く察知して自分の身を守ることができる人はどんな人でしょうか? 当然ながら本社の中枢にいる人ですよね。地方に移住して自分の身を守れるのかどうかは、まだ表面化していない未来のリスクだとは思いませんか?