寝る間も惜しむような生活に逆戻りする可能性
今、大企業勤務で完全リモートワークになった人が地方移住を考えるきっかけが、冒頭にお話ししたような「都会の給与レベルで地方の生活ができる」という夢のような新しい現実にもとづく話だったわけです。
しかしこの先、10年ぐらいのスパンで考えた場合、そういった大企業が業務の多くの部分をリモートでできるように切り出し、組織全体でデジタルトランスフォーメーションが大幅に進んだときのことを考えてみてください。
大企業から見れば新しい現実として社員を大都会の中で採用する必要がなくなります。そのような新しい時代に高い給与でないと来てくれない都会の人材と、安い給与でも来てくれる地方の人材を選べるようになったらどうなるでしょう。私が大企業の人事部だったら、よろこんで地方採用の社員をたくさん採用します。
そのような未来になったら何が起きるでしょうか。シンプルに考えれば、元・都会採用のあなたの給与の増加ペースは頭打ちになるはずです。そしてあなたの査定は、もっと給与の安い地方採用のリモート正社員の生産性と常に比較されるようになります。
「君の3分の2の給料でみんなきちんと仕事をしてくれているんだけどねえ」
といった課長の嫌味で、大都会に住んでいたときには抱えていなかったストレスを感じ、生産性を上げるために毎日サービス残業をするようになる。それで寝る間も惜しむようなライフスタイルに戻るとしたら、それは怖い逆戻りと言えないでしょうか。
引っ越しを決める前の検討材料に
いかがでしょうか。完全リモートをきっかけに地方移住する前には、6つのリスクを考えてみるとよいでしょう。
もちろん今のメリットとデメリットを比較すれば、完全リモートワークが実現した人にとっては地方移住のメリットが大きいことは事実です。なにしろ9割の人が「良かった」と答えているのですから。
コロナという変化によって多くの人にとって地方移住を考えるべきタイミングが来ています。その前提でこれらの6つのリスクについても検討してから引っ越しを決めてみてはいかがでしょうか。