「暇つぶし」は、所詮「暇つぶし」でしかない
【50代を後悔している理由4位】地域デビュー、妻と旅行、学び直しや趣味は暇つぶしにしかならなかった
巷の「定年後」の本では、
・地域デビュー
・妻と旅行三昧
・趣味に生きる
・学び直し
といったことが薦められています。
私も大賛成ですが、時間つぶしが主な目的になってしまうと、うまくいかないことが多いようです。
「それまで地域とまったく接点がなかったので、地域デビューしようにもきっかけがない」
「ボランティアサークルにいくつか入ってデビューしてみたものの、人間関係がうっとうしくて、どれもイヤになってしまった」
という声をよく聞きます。
そもそも、人とのコミュニケーションや付き合いが嫌いだったり、苦手だったりする人だって相当数いるはずです。
「妻と旅行三昧」にしても、そう思っていたのは夫だけで、妻は友達との方がよっぽど楽しく、「夫と旅行なんて冗談じゃないわ」という感じだったり、そもそもしょっちゅう旅行できるだけの資金がないという残念すぎる結末も耳にします。
「学び直しに励む」とか「趣味を究める」というのも、「暇つぶしでやるとなると、やりがいも感じないし、楽しくもない」と言う人が多いのです。
「定年後はゴルフ三昧!」と考えていた人に聞いたところ、「いつでもできる立場になってみたら、現役時代に忙しい中やりくりして出かけたゴルフの方が楽しかった」と言うではありませんか。
結局、「暇つぶしを目的に始めても充実感は得られなかった。人生の柱にはなりえなかった」というのが現実ということでしょう。
今の50代は「逃げ切り世代」ではない
しかし、現在の50代の定年後は、そんな「優雅な暇つぶし」さえなかなかできない時代になるかもしれません。
ご存じのように、すでにリタイアしている世代は、「逃げ切り世代」です。持ち家も多く、1社への勤続期間も長いので、それなりの資産があります。退職金と、それなりに生活できる年金が支給されています。
ところが現在の50代はどうでしょう。
2020年に50歳の人は、1970年生まれです。大卒者の就活はバブル時に行われましたが、入社した年にバブルが崩壊。そこから「失われた20年」がスタートしています。
59歳の人は、共通1次世代です。20代でバブルを経験したものの、ビジネスパーソンとして過ごした期間の半分以上が、成長を終えた日本の「失われた20年」と重なります。
この世代は晩婚化も進行したので、子供に一番お金のかかる時期が、役職定年後や60歳をすぎて新入社員並みの年収となった再雇用の期間になってしまうという問題も、起こりつつあるのです。
50代にとって、退職金と年金だけで定年後の暮らしが成り立つかどうかは不透明です。